死にゆく獣達は守るべき女達に
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が、
ケイトはその水気が濃くなっているような気がして鼻も頬も真っ赤にする。
ヤバいなぁ、と独り心で呟いてまたヤザンを後眼で見ようとして、
「顔を動かすな!貴様の髪が邪魔だ!」
「ぁあっ!?」
赤いポニーテールが鼻先をちょろつくのをイラついたヤザンが、
ケイトを一瞥もせずに彼女の胸部を引っ掴んで脇腹へ押しのけた。
ヤザンは掴みやすい出っ張りを掴んだまでだが、
そこには女の膨らみがあってケイトは思わず女の声を出してしまっていた。
初めて他人に掴まれて変形する乳房の感覚にケイトは困惑し、
そしてその鮮烈な感覚を一生忘れられなさそうな自分にも困惑していた。
そんな乙女の葛藤露知らず、ヤザンはただ目の前の敵に舌舐めずりをするだけである。
――
―
片腕のゴッゾーラが黒煙を撒き散らしながらも、
ゾロのビームライフルを拾って果敢にシャッコーへ挑んでいる。
だがシャッコーは、ビームライフルをゴッゾーラの右方に巧みに撃ち分け牽制…
敵MSの動きを制限し戦闘をコントロールしてしまうのがヤザンの妙技だった。
急スピードで左に回り込んだシャッコーがゴッゾーラの腰に強烈な蹴撃を見舞う。
「うおおおッ!?」
今までの戦闘でもシャッコーから殴る蹴るを時折受けていて
ダメージがフレームに蓄積している。
ゴッゾーラの金属骨格が軋んで悲鳴を上げ、
コクピット間近への衝撃にワタリーも苦悶の声を上げていた。
それでもワタリーは体に染み付いた動きでMSを操作し、
コンピューターのオートバランスの助けも借りて
機体各所のアポジとAMBACで体勢を立て直そうとした。だが…。
「なに!?メインスラスターが死んだのか!?」
バックパックのバーニアが、今のシャッコーの蹴りで大きく凹み歪んでもはや点火しない。
オートバランスはバーニア込みの体勢制御を考慮していたから、
ワタリーはとっさに手動でゴッゾーラを立て直し転倒を防いだのだった。
しかし、シャッコーを駆るパイロットのような強敵相手にそれは致命的な隙だ。
友軍が健在ならばそういう隙を仲間がフォローしてくれるが、
もうベスパのイエロージャケットはボロボロだ。
メッチェのリカールは今もメガ粒子砲で援護をしてくれているが、
シャッコーはそれを避けきって尚ゴッゾーラに襲いかかってくる。
メッメドーザも姿を見かけず「墜ちたか…」とワタリーは眉をしかめた。
シャッコーが目を光らして、そしてヤザンが叫ぶ。
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