死にゆく獣達は守るべき女達に
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れを見たケイトは己の運命を半ば察し、初めて僅かながら怯えを見せた。
だが少しでも生きる可能性を掴み取る為に、生き汚くも足掻いてみせる。
ガンイージの必死の頭部バルカンも、
頭部の射角届かぬに下方に体を滑らせたメッメドーザ相手には、虚しく空をきる。
メッメドーザの稲妻型に裂けた瞳が赤く輝いて上目遣いにケイトを凝視していた。
「っ…!」
(た、隊長っ!ヤザン隊長ッ!!)
口の中で、ケイトの歯がカタカタと鳴る。
まるでその怯えが見えているかのようにルペ・シノはコクピットで歯を見せてニヤけた。
「機体はそのまま…パイロットには死んでもらおうかねェ!」
メッメドーザのビームサーベルの光が、
ガンイージの全天周囲モニターいっぱいに広がっていく。
視界を強烈な輝きが覆い白く塗りつぶしていくのが、
死を間近に感じ取ったケイトにはスローで見えてしまうのが恐怖であった。
ガンイージは、その名の通りにガンダムタイプの簡易型イージーverであったのは
こういう状況では悲劇であった。
この機体は性能を維持したままにコストダウンを図った結果、
見事に戦闘能力を保持しつつ安価に仕上がって
簡易型とはいえミノフスキーフライトを搭載し
高出力なVと同タイプのBビームサーベル、Bシールド、Bバズーカにまで対応している。
索敵能力、スラスター推力、パワーウェイトレシオ重力出力比も及第点で、
まさにVガンダムのイージーverとしては破格の性能だった。
だが、簡略化されたのは合体機構だけではなく脱出機構までがガンイージには存在しない。
ベスパが高性能を維持しつつ脱出機能にも力を注ぎパイロットの生存率が高いのと裏腹に、
リガ・ミリティアは人命軽視ともとれる方針をとり…
その結果、短期間低コストで
ザンスカールMSに匹敵する安価なMSを作ることが出来ていたのだった。
だから、今ケイトは抵抗は勿論、脱出すら出来ない。
八方塞がりに陥っていた。
(いや…いやだっ!死にたくないよ!まだ私はっ!!あの人に…!)
多くの敵を殺してきたMSパイロットだと言っても、
ヤザンに厳しい訓練を課せられてそれを越えたと言っても、
いつか戦場で散る覚悟で戦ってきたとしても、
いざ死を目の前にして従容として死に就ける程出来た人間はそう多くない。
鉄と機械が焼ける音が僅かにケイトの耳に飛び込んだ気がして、
そして一拍の後に轟音が空気とガンイージを揺らした。
何が何だか分からないケイトは「っ!?」と声無き声で呻いて
事態を掴も
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