爪研ぐ獣達
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の目…近頃の連邦軍人にしちゃ、やけにギラギラと…」
久々に出会った、熱を秘めた連邦軍人。
もはや絶滅危惧種に等しいあの連邦のパイロットをもう少し眺めていたい。
昔失ったゴメスの熱が心臓の奥から鼓動と共に少しずつ湧き上がるのを
中年の軍人は感じていた。
「はぁ〜〜、嫌だ嫌だ…あんな目ぇされちまったら
俺も少しはやる気だしてやらにゃならんか。
らしくもねぇが……へっ、少しは面白くなってきたかもしれん」
笑ったゴメスのその顔は、
数年ぶり…下手をすれば十年以上ぶりの、どこか力に満ちているものだった。
◇
旧フランスの上空をベスパの大軍が征く。
調整の完了した新型MSゴッゾーラに乗るワタリー・ギラ率いるゾロのMS大部隊。
同じく、調整が完了した新型メッメドーザを駆るルペ・シノ。
そのルペ・シノは、重傷を負ったピピニーデンから指揮権を引き継いて、
再編成されたトムリアット隊を率いている。
大気圏内用の戦闘機オーバーヘッドホークの航空師団もいるし、
地上ではドゥカー・イク率いるガッダール隊のバイク軍団がベスパのMS隊を追走していた。
まさに大軍団であった。
率いるは、ファラ・グリフォン中佐…ではない。
もはや彼女はラゲーンの司令ではなくなっていて、
彼女は…今はジブラルタル攻略軍団の副指揮官待遇である。
指揮官は、ラゲーン基地にて彼女の副官を務めていたデプレ大尉で、
これは全く屈辱的な…懲罰的な人員配置であった。
だがもうファラには抗う気力もない。
指揮能力に優れているが故に指揮官用MAと言えるリカールを未だに与えられているのは、
ファラの現状を不憫に思ったデプレの取り計らいであった。
ファラの腰巾着から抜け出し、いつかは彼女を追い落として基地司令に…
そういう野心を秘かに抱いていたゲトル・デプレ大尉であったが、
最近のファラの弱りっぷりをいざ目にすると、とても見下していい気になる事は出来なかった。
(あのファラ中佐がああも儚く見えるなんてな…)
今朝、タシロ・ヴァゴからの直接通信を受けた後のファラの姿を思い出すと、
趣味のキャラオケを楽しむ気も失せるというものだ。
御目付のピピニーデンが軍病院送りになったのを良い事に、
タシロ・ヴァゴの懲罰人事を一部見なかったことにし
ファラお抱えの腹心メッチェを付けてやったのもデプレだった。
現地改修を施しセンサー周りを強化したゾロ改に乗り、
そのヘリ形態のキャノピーから後方の
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