爪研ぐ獣達
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宇宙からの侵略者を撃退してきた連邦部隊。
それがAAAA隊であった。
彼らのお陰で、彼らの配属地域であるアフリカ地帯だけは不落の土地となっていた。
リガ・ミリティアとしてヨーロッパを主な活動領域にしていたヤザンも、
アフリカの連邦軍の噂だけは聞いていた程である。
ヤザンの言葉を受けて、ゴメスの表情が曇る。
「そりゃ、オメェ…今どきよぉ…軍全体を鍛え直そうとか無理な話なんだ。
俺だって昔は随分熱いこと言って何とかしようなんてして…
で、疎まれちまって今はこんな田舎でしがねぇ輸送機のキャプテンだ。
流行らねぇ事はするもんじゃねぇってな」
乾いた笑いを浮かべたゴメスの顔が、その時初めて軽薄で怠惰なもので無くなった。
壮年の、相応の顔には力の無い諦め…悟ったようなものすら滲ませる。
一瞬どこか遠くを見ていたゴメスは、
すぐにそんな気配を霧散させて、そしてヤザンに向き直った。
「あー、ヤザンっていったか。
連邦ではどこの部隊にいたんだ?腕っこきだし、やっぱアフリカのどこかか?」
ヤザンは笑って言う。
「ティターンズだ」
ゴメスが間抜けな顔になってトボけた声を出す。
「へっ?」
「その後…まぁ少し色々あったがね。
表向きの最終経歴はそこで終わりだ…俺はな」
「ティターンズって…へっ?
お前さん…変な冗談言っちゃいけねぇや。
あんな昔の愚連隊の名前使った部隊、今時ねぇって」
愚連隊、というフレーズにヤザンは思わず笑い、
そしてまだまだやる事があると
挨拶を切り上げてゴメスに背を向けて早足に歩き出していた。
去りながら、ヤザンはゴメスへと声を掛ける。
「ゴメス大尉!俺といればアンタの錆びたエンジンに火を着けてやるよ!
ジブラルタルへ俺達を無事届けてくれると期待しているぜ」
「あっ、おい待てよ!
…………行っちまいやがった」
スタスタと去るヤザンの背を見るゴメスは、軍帽を脱いで頭をガリガリと掻く。
「……ティターンズの…ヤザン・ゲーブル………。
ま、まさかな…。上官殺しのヤザン・ゲーブル、か?
いやいや!ハハハッどうかしてるな俺は。
ヤザン・ゲーブルが生きてたら90歳ぐらいのジジイだぞ?」
今は無気力な給料泥棒とはいえ昔とった杵柄。
熱心だった士官学校時代に習った戦史の授業を思い出すロベルト・ゴメスは、
軍帽を被り直してもう一度小さく笑った。
「…しっかし、あいつのあ
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