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ヤザン・リガミリティア
爪研ぐ獣達
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している」

 

やる気のない顔で握手をしていたゴメスだが、

そのような不名誉な異名を言われてこめかみを一瞬だけピクリとさせたが、

しかし怒る素振りは見せていない。

 

「あんだと?お前さん、俺に給料泥棒って言ってんのか?」

 

「あんただけじゃない。世間の評判って奴を他の連中にも言っているつもりだ」

 

「はー、言いなさるねェ…けどな、俺達ァ連邦軍なんだ。

リガ・ミリティアだかゲリラだか知らんがあんたらに協力する筋はそもそもねぇのよ。

ジン・ジャハナムだかなんだから知らねぇがお願いされて来てやってるって忘れんな」

 

怒る気力も無いと言わんばかりの無気力さ。

ダラダラと物資の搬入やらをしつつシュラク隊の美女らにニヘラ顔で近づいて

無駄にスキンシップをとろうとしている連邦軍人達。

面と向かって罵声に近い事を言われて怒らぬ眼前の連邦軍人は、

温厚とかそういうのではなく只々怠惰で無気力でしかなかった。

ヤザンは、分かっていた事だが深い失望を覚える。

 

「…これが連邦の実態だったな。

バグレ隊が頑張ってくれているから、つい勘違いしてしまう。

しかし、ゴメス大尉…

あんたは俺達に協力するようアイルランド基地司令に言われているはずだ」

 

「チッ、そうだよ。だからこうしてこんなベチエンくんだりまで輸送機持ってきてやってんだ。

は〜〜あぁ…なーんで俺達が

これからドンパチやりだしそうなジブラルタルまで行かにゃならんのだ。

聞いたぜぇ?ザンスカールの大部隊が引越公社のジブラルタルに向かってんだろ?」

 

「ベスパの動きを掴んでおきながら連邦軍は動かんのか?

最近は連邦内でもザンスカールに対するタカ派が増えていると聞いたが」

 

「動くわきゃねぇだろ。

黙ってりゃ給料貰えて、うまいこと生きて定年迎えりゃ年金生活!

わざわざテメェから死ぬ危険性のある事するわけないってね!

そんなバカは一握りだけヨォ、ダハハハハッ!」

 

連邦軍人達が、侮辱されても怒る気力も無いほど無気力なのと似て、

ヤザンもまた怒る気力すら湧いてこない。

だが、それは深い失望故だ。

ヤザンは、しかし湧き上がる侮蔑的な感情を隠してゴメスに言う。

 

「…そうは言ってもやる事はやってもらうぞ、大尉。

今回の作戦の趣旨は分かっているな?」

 

冷ややかな目線と共に発せられたヤザンの言葉は自然と居丈高となっていたようで、

それを聞いたゴメスはその居・丈・高・さ・をエース故の傲慢と見ていた。

大層な溜息をつきながらニヤけ顔で臆せ
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