獣の安息 その2
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そして、それをいつぞやのようにしっかり掴んで受け止めるヤザン。
この行動はひょっとしたら予定調和になりつつあるのかもしれない。
「は、離して!」
「女を侍らすってのはシュラク隊か?ククク…そうか」
傍から見れば自分はパプテマス・シロッコと同じような事をしていたか、と
ヤザンは何だか可笑しくなってしまう。
彼とは気が合って、友人にも近い感覚をお互い持っていたからだろうか…
何とも嫌な影響を受けてしまったと埒もない事をふざけ半分に思う。
今、もしも自分の横にあの面白い男がいれば、
貧弱なリガ・ミリティアを己の才感と手駒で勝利に導こうと、
ゲーム感覚で大いに楽しんで戦争をしただろう。
或いは女王マリアを口説いてザンスカールを乗っ取ったかもしれない。
やることなすこと愉快で楽しい男だった。
そんな事を思って薄ら笑いを浮かべていたヤザンをカテジナはキツイ目で見ていて、
ヤザンの腕から逃れようと身じろぎを続けていた。
ヤザンはやや溜息を漏らしながら、
一応は部下達の為にも…そして自分の名誉の為にも弁護しておく。
「だが奴ら、ああ見えて腕はいいし心構えが出来てるんだ。我慢しろよ。
それにシュラク隊の人選はそこにいるオリファーがやった」
えっ?と思わず呟いてしまったオリファー。
思わぬ火の粉にオリファーはメガネ奥の瞳を点にしていた。
「しかし俺を嘘つき呼ばわりとは…さて、いつ嘘をついたか」
カテジナの目が一瞬動揺したように揺れる。
マズイことを口走った、というような顔付きだった。
「ン………見当もつかんなァ」
そう言いつつヤザンの顔には悪戯小僧染みた悪辣な笑みが浮かんでいる。
カテジナについた嘘・を思い出したらしい。
「も、もう良いから離しなさい」
「ああそうか!そうだったな!
帰ってきたらご褒美をやると言っていたな!
約束したのにまだ褒美をやらん…これは確かに嘘つきだった。許せ」
「別に、ゆ、許す許さないという話じゃない!
まったく違うわ。勘違いしないで貰いたいわね」
カテジナの頬に薄っすら朱が差している。
その反応は充分にヤザンの戯言を真に受けていた、と雄弁に語っていた。
「帰還してからもう3日だものなァ?
ずっとアレの続きを期待していたんだとしたらそいつァ済まなかった。
この3日間、ずっと欲しがっていたとはな!ハハハッ!」
「だからっ!そうじゃないって言っているでしょう!
本当に人
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