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ヤザン・リガミリティア
獣の安息 その2
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割り切りが出来るのもこの男であった。

オリファーが、はらはらした目つきで2人を見ている。

2人の口論は続く。

 

「民間人を巻き込んでいないつもりなの!?

ウッソ君はどうなのよ!あなたが兵士に仕立て上げたウッソ君は…!

今じゃ立派に恐い殺人者になってしまって!」

 

「クク…違うな、カテジナァ!」

 

「なにが!」

 

「ウッソは殺人者じゃない。戦争で人を殺すことを覚悟した奴は戦士だ。

覚悟した奴は、ガキだろうが女だろうが戦士になれる。

あいつや俺は敵とスキルを競い合って敵だけを殺す!

殺人者と、俺達兵士はそこが全く違うのさ」

 

「へ、屁理屈を…!同じでしょう!」

 

「俺達は戦争が終わりゃ人は殺さん。

殺人者は平和になってからが本領発揮だ。どこが同じだ?」

 

「そ、それも…屁理屈だわッ!

あんた達が人を殺して戦争を始めるから…世界中が不幸になっている!」

 

「…言っただろう?俺は兵士だ。

そして戦争を始めるのは兵士じゃない。政治家なんだよ。

知らん所で勝手に戦争が起きているから、

ついでに敵さんの兵士と殺し合いをさせて貰ってるだけさ。

戦争を終わらせられるのも政治家だ。

戦争をするなと言うなら俺達じゃなく、政治屋共に言いな」

 

今回の紛争の事ならフォンセ・カガチあたりだ、とヤザンは他人事のように言った。

敵が攻めてきたから抵抗しているだけだというその理論は、

理解は出来ても民間人のカテジナには納得し難いものがある。

 

「…ッ、あなたは全く話が通じないタイプなのね!」

 

怒りも顕に怒鳴る金髪の令嬢の迫力は、

同室で先程より肩を小さくして仕事をしているベテラン兵士のオリファーもたじろぐ程。

 

(…マーベットが怒った時より恐いじゃないか…ヤザン隊長はさすがだ…)

 

チラリと2人を見てから事務仕事に精を出すオリファーは、

怒髪天を衝く美女を軽くあしらっている隊長へ改めて尊敬の念を抱いていた。

 

「今更気付いたのか?…しかし、何をそんなにカリカリしとるんだ、お前は。

女の日のとでも言うのかァ?ピルでも飲んでこい!」

 

「ッ!ば、バカを言って!本当に破廉恥な男!!

あなたのような、女の兵士を侍らす品性のない軽薄な嘘つき男は死ぬべきでしょう!?

なんで生きて帰ってきてしまうの!?

大好きな戦争の中で野垂れ死んでしまえばいい!」

 

白い手を、いつぞやのように振り上げたカテジナ。

 

「ふん…、またかよ」

 


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