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ヤザン・リガミリティア
獣の安息 その2
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せんだろう」

 

苦しんでいるザンスカールの様子が心底可笑しいのだろう。

かつての自分達ティターンズと同じ轍を踏みそうだ、と口の中でクックッと笑うヤザンであった。

だが、そのように笑う男の事が気に食わない女がこの部屋にはいる。

 

「…他人の不幸が好きなようね?やはり下衆な男…ヤザン・ゲーブル」

 

カテジナ・ルースだ。

彼女は、ヤザン専用事務員に任命されてからひたすらにこの部屋で仕事に追われていた。

勿論、事務の合間合間に赤ん坊のカルルマンの世話もしていて、

ヤザンに言いつけられた事は多少の無理をしてでも熟していた。

それが出来なければ気に食わないヤザンに負けたような気分になる、

として彼女の生来の勝ち気と負けん気が仕事に対する義務感となっていた。

オリファーが合流した今も、カテジナの事務仕事は一向に減らない。

事務の助けが増える度にヤザンが己の分の事務仕事をしなくなるからだった。

 

「俺は他人の幸不幸に興味はない。が、敵の不幸は好きだと認めよう。

敵が不幸になりゃ、俺への幸福の分前が増えるというもんだ…ハッハッハッ」

 

ヤザン流のジョークにカテジナの細い片眉が歪んだ。

辛辣なカテジナの言葉に返したヤザンのそれはそれがどうした≠ニ言わんばかりだ。

その堂々っぷりがカテジナの反感に繋がる。

だがその一方で、自らの醜い部分を受け入れ、悪びれること無く認められて、

常に胸を張っているこの粗野な男を羨望すると共に男らしい≠ニ思えてしまう。

そういう感情が彼女の心の隅に生まれつつあるのも確かだった。

理性で決して認めない…認めたくないカテジナだったが、

認めたくないという思いがある時点でそういう感情の発生を自覚している。

 

「あなたみたいな戦争する大人が積極的に不幸をばら撒いているのよ。

それで自分に幸せが舞い込むとでも思っているの?」

 

「戦争をするのは幸せさ。合っているな」

 

「あ、あなたは!民間人が巻き込まれているのよ!?」

 

「俺が巻き込んだわけじゃない。文句を言いたいならザンスカールに言うんだな。

こっちは出来るだけ民間に被害が出ないようにしてやっているんだ」

 

そう言いつつ、ヤザン自身

リガ・ミリティアが積極的に街に潜伏してゲリラ戦を展開しているのは知っている。

胸くそ悪いとも思っているが、ザンスカールの人狩りとギロチン…

そしてそれを正義にしているマリア主義にもヤザンは胸くそ悪い物を覚えている。

だからコラテラル・ダメージ巻き添え被害だとして割り切ってしまっていた。

そういう
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