獣の安息 その2
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の革新だとか…新しい人類だとか、そういう昔にあったやつですか?」
この時代、ニュータイプは過去の遺物だった。
ニュータイプを求める声も、ニュータイプに期待する声も消えて久しい。
人々の誰もがニュータイプにパイロット特性以上の物を求めていない時代になっていた。
「そうだな。全部昔の事だ。
ニュータイプなんぞまやかしさ…そう思え」
「まやかしって言っても…でも、僕には…確かに聞こえるんですッ」
ヤザンは少し考えて、そして口を開いた。
「…………俺も機体越しにパイロットの姿なら見たことがある」
「えっ?」
その現象は、ウッソも度々経験したことがあったが、
ヤザンにとっては余り思い出したくないオカルト体験だ。
それでも、その話をウッソに開陳したのはその体験談が彼に活きると思うからだった。
「だが、まやかしだ。そんなもんに惑わされるな。
機体の動きから殺気を感じて予測するんだよ。
そうすりゃ、戦場で培った嗅覚が自分の感を鋭くしてまるで見えたような気になる。
そういう一種のランナーズハイに過ぎん」
「あの音が…姿が、脳内麻薬の興奮に過ぎないと言うんですか…?」
「実際は知らん。だが、そう思えと言っている。
幻聴や幻覚を自分の戦闘センスと経験が生んでくれたイメージだと理解しろ。
それを利用するんだ…ニュータイプなんてあやふやなものに頼って振り回されるな。
お前は、お前が培った技術と経験を信じろ。
それができりゃ、この先も戦場で生き残れる」
ヤザンがまたウッソの頭に手を乗せた。
「ヤザンさん…」
「生きろよ坊主。でなきゃ、貴様につぎ込んだ時間と労力が無駄になる」
「わッ」
少年の髪をぐしゃぐしゃと掻き乱して撫でる。
とても雑だ。乱暴だ。
だが、ウッソは妙な心地良さを感じてなすがままになっていた。
(あなたが僕のために言ってくれているって…分かりますよ、ヤザンさん)
少年は、眠くなってしまう程の安心感をその手から感じていた。
◇
ヤザン達がカリーンの地下工場アジトに無事戻ってから数日が経った。
その間、シュラク隊が記憶喪失と幼児化現象に陥った女王の弟に驚愕したり、
何故かカテジナ・ルースと初対面から
険悪なムードになってしまったりという事はあったがヤザンからすれば些細な事だ。
ラゲーンの地上ザンスカールも最近は大人しく、カリーンにも
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