獣の安息 その2
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ー、今の言い方なんか卑猥じゃない?」
ジュンコも撫で回しに参加しつつ金髪の同僚へ軽口を叩く。
「少年をがっつり仕込む隊長…うーん……確かに、マズイ言い方だったかしら?」
等とシュラク隊が好き勝手にウッソの頭を弄ぶものだから、
ウッソの髪が大変なことになってしまっていた。
「ちょ、ちょっとお姉さん達!?や、やめてくださいよ〜!
ヤザンさーーん助けてぇ!」
本気でどうすれば良いか分からないウッソは、
美女達にもみくちゃにされて身動きもとれていない。
ヤザンへ助けを求めるその声は割合、必死であった。
その様を微笑ましく見守っていたマーベットもいつの間にか意中の人…
オリファー・イノエの横に行って彼と久方ぶりの談笑などをしていた。
僅かな間、そんな部下達の交流の光景を眺めていたヤザンだが、
やがて皆に号令を下すとさっさと自らは休憩しだすのだった。
「ここで10分、小休止した後すぐに発つ。各自、用を済ませておけよ」
折れた木の幹に腰掛けたヤザンが、
サバイバルキットから取り出した携帯食を口に放り込みながら言った。
この男は隙あらばこうして胃に何かを入れている。
パイロットは体力勝負だ。空きっ腹では真価は発揮できない。
食べられる時に食べ、寝られる時に寝る…兵士にとって大事なスキルの一つだ。
頬張りつつ、隣に座ってきた少年を見る。
「…」
先程、シュラク隊にもみくちゃにされている時はそうは見えなかった。
だが、こうして一旦落ち着いてから改めて見ると、
ウッソの様子が普段と少々違うのが分かる。
「本格的な初陣を乗り越えた。
これはめでたいことだ…敵の死を気負って、そして自分の生の喜びに変えろ」
「ヤ、ヤザンさん」
歴戦のパイロットの逞しい男の手。
それが、少年の柔らかな頭をしこたま撫でる。
その感触は、先程女性陣達に撫でられるのとはまた違っていた。
柔らかではないが、頼り甲斐のある安心感や充足感をウッソに与えてくれていた。
少年の口が自然と動く。
「…でも、モビルスーツを撃つ度に…聞こえるんです」
「何が聞こえた」
「………………音です。
命が…まるで命そのものが砕ける、怖い音が……っ」
ウッソが自分の頭を両の手で抱えて呻く。
声と肩はやや震えていた。
「ニュータイプだとでも言うのか?そういう感性は俺には理解できん」
「…ニュータイプって、
人
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