獣の安息 その2
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かしくなってきて、
カサレリアに住んでいた時は当たり前過ぎたその家事の数々が照れ臭い。
「…う、うそだろ…?それって…もう新婚じゃないか!」
クロノクル青年がショックを受けている。
ウッソは勝ちを確信して、さっきとは逆に勝ち誇って笑ってやった。
新婚という単語にシャクティは赤い顔で俯いた。
「そ、そうだね。もう結婚してるみたいなもんだよ」
つい少年もそう言ってしまう。
聡明でスペシャルな訓練を積んだウッソとはいえ根は13歳だ。
言い合ったりケンカしたりすると突っ走って思い掛けない事をしでかすこともあるのだ。
「く…」
クロノクルはかなり悔しそうな顔になっていた。
泣きそうにも見えた。
「ね、姉さんは…姉さんと俺は2人きりで…、
たった2人の家族なんだ…!なのに、ウッソは俺から姉さんを盗ろうっていうのかよ!」
「ち、違うよ!盗ったりはしない!結婚したって家族は家族でしょう!?」
「姉さんは結婚して、ウッソと暮らすんだ!?お、俺を捨ててッ!
お、俺は…俺はどうすればいいんだよ!俺はっ!う…ぐッ…ううッ」
クロノクルが胸を抑えてうずくまった。
傷が疼いているのかもしれない。
情緒が不安定で傷も全快していないから、
感情を激発させてはいけないと医師のレオニードにも言われていた。
「しまった!」とウッソとシャクティは慌ててクロノクルの肩を支える。
彼はまだ簡単な散歩程度しか運動は許されていないレベルなのだ。
「だ、だからさ…違うよクロノクルさん!
僕とシャクティが…その…結婚するってことは、
僕とクロノクルさんが家族になって一緒に暮らすってことだろ?ね?」
ウッソの言葉にシャクティも乗る。
今は恥ずかしいとかそういう事を言っている場合ではない。
「そうよ、クロノクル…大丈夫。私は…姉さんはずっと一緒だから。
ウッソと…私と…カルルマンとあなたで暮らそう?」
クロノクルを宥めて安心させるのが最優先。
そう思ったシャクティは、クロノクルの頭を撫でながら、
ついでにカルルマンの背中も擦って2人を包み込むよう抱いて温かい声でそう言ってやる。
「う…ぐ…ぐ……ふゥ…ふゥ…うゥ、う…カ、カルルマンもかい?」
体中の痛みと感情の昂りからくる涙、汗で濡れたグシャグシャな顔を、
シャクティは一切嫌がらず躊躇いなく胸に抱きとめた。
「そうよ。みんな一緒に暮らしましょう」
「う、うん…いい
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