獣の安息 その2
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リファーと共に所属していた隊で、
Vタイプの為にカミオン隊に向かったヤザンの代わりに
オリファーが指揮官となっていた旧式MSジェムズガン隊だ。
オリファーが率い、指揮官であるオリファーもいれて9機がいたはずだが、
今ここにいるジェムズガンはオリファー機の1機だけだ。
ジェムズガンから姿を覗かせるオリファーは、問われ、俯き加減で答える。
「…彼らは、全滅です。皆、自分の仕事をしてくれました」
新型MSガンイージを主力に届けるためにヤザンの教えを最大限に実行し、
オリファーを除く全員が乗機のジェムズガンをシュラク隊の盾にして散った。
先刻の圧倒的有利と思われた乱戦の中で、
既に疲弊していたモンペリエ隊の残兵は生き残る事が出来なかった。
ゾロとは違うあの紫のMS達は、決して容易な相手では無かったということだ。
ヤザンはその報告を、眉間に深い皺を刻んで聞いた。
「…そうか。全員やられたか」
この場に生き残った連中は、
ヤザンとオリファー以外はジェムズガンのパイロット達を見知ってはいない。
だが、ヤザンとオリファーの表情を見れば良い人達だったのだと理解できた。
「すみません、ヤザン隊長。私達が捕捉されたばかりに…」
ジュンコ・ジェンコは、久しぶりに教官であり上司でもあるヤザンの顔を見れた嬉しさを殺し、
盾にしてしまった同志達の死を思う。
他のシュラク隊も、そしてマーベットもウッソも神妙な面持ちだ。
「こればかりは仕方がない。運が悪かったと思え。
……それに、モンペリエの奴らは美人の盾になれたことを喜んでいる筈さ。
奴らの死を悼むというなら今日は奴らのために酒でも呑んでやるんだな…。
あいつらも女と酒盛りが出来て喜ぶだろう」
ヤザンはいつもの調子でそう言い切った。
戦い抜いて死んだ者は寧ろ幸福だ。
彼はそう思っているから死者に魂を引っ張られはしない。
湿っぽい話は終わりだ、とばかりに
ヤザンはシャッコーの昇降機で飛び降り、そして皆を見た。
「それにしても、シュラク隊が全員くたばっていないようで安心だ。
勇んで死にかけているかと思ったが…良い戦いっぷりをするようになったな。
特に……ヘレン・ジャクソン!」
「ハッ!」
「突っ込むだけじゃ無くなったようだな。良い動きだった」
「ありがとうございます、隊長。
私達は全員、隊長にあれだけ鍛えられたんですから突っ込むだけでは能がありません。
せっかくの新型を壊して届けたら後が怖いし…ね?みんな」
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