ジェヴォーダンの獣
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がそれだけであった。
「避けた!?化け物かこいつ!」
ピピニーデンの精神が追い込まれるだけの怪物なのだと、
ルペ・シノもまた納得してしまう。
頭部が吹き飛び、首から火を拭いたピピニーデン機。
火が胴体にまで回っていくと、インジェクションが起動してコクピットブロックを射出する。
ルペ・シノはすかさずそれをキャッチし、そして一目散に逃げ出した。
「やっていられないよ!エース3機と新型の群れに囲まれるなんてさ!」
上からはシャッコー、そして2機の白いMSは左右から着いて来る。
シャッコーが朱い目を不気味に光らせると同時に、
白いMSの緑のセンサーアイも冷ややかに光った気がした。
(…っ!このルペ・シノが…狩られる!)
自機を見つめる3対の冷たいセンサーアイにルペ・シノは心底ゾッとする。
「く…スラスターが…!!?」
煙を吹いていたバックパックが限界を迎えつつあるらしい。
全開にしたスラスター炎が掠れて黒煙を吹き出す。
トムリアットの速度が落ち、シャッコーが迫る。
ここまでか、とルペ・シノが観念しかけた、その時に救いの手は彼女に差し伸べられた。
レーダーに新たな熱源。
数機のMSらしき反応が急速に迫ってきていた。
きっとその反応はリガ・ミリティアの増援ではない。
何故なら、ルペ・シノを追ってきていた3機が急ターンして踵を返したのだから。
「た、助かった…の?」
ルペ・シノの体中に不快な汗が纏わりついてた。
こうまで死を意識した戦いは、彼女もかつて経験したことがない。
背後を見ると、残りのリガ・ミリティアのMS達も引き上げつつあり、
自軍と違いその撤退っぷりは非常に鮮やかで素早い。
はるか上空を見れば雲の隙間にリカールも見えた。
高機動と雲を活かして生き残ったのだろう。
さすが、ファラ・グリフォン中佐お抱えのパイロットというだけあって腕は良いようで、
火と煙に包まれながらも一応は無事。しかし…
「ベスパのイエロージャケットが…この有様なのかい…」
まさに惨憺たる有様である。
酷く掠れながらもベスパのラゲーン所属の周波数で呼びかける通信が聞こえてくる。
「ご無事ですか!中佐!中佐!聞こえますか!
応答を!こちらワタリー・ギラ!応答を願います、中佐!」
ミノフスキー粒子の戦闘濃度圏外にまでルペ・シノは来ていたらしい。
増援部隊から聞こえる低いだみ声に彼女は心底安堵していた。
公的記録に残る、ザンスカー
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