ジェヴォーダンの獣
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どのような攻撃を仕掛けてもそれが通じるとは思えなくなってしまっていた。
ピピニーデンが、目の前のケモノに全ての集中を掻っ攫われていたその戦闘…。
その間に、この空域のバトルは大きく状況を変えていたのに彼は気付けなかった。
「大尉ッ!!」
「っ!」
それに気付いたのは、部下ルペ・シノからの叫ぶような通信が入ったからだった。
ミノフスキー粒子で酷く掠れながらも、間近まで来た損傷著しいトムリアットが叫んでいた。
「ピピニーデン大尉!我が隊の損耗甚大!クワン・リーも見当たりません!」
「な、なんだと?この短時間でそこまで…何機が生き残っている!
クワン・リーは死んだのか!?」
「確認できていません!」
もはや損傷していないトムリアットはいない。
ルペ・シノ機も片腕と片脚の関節から先を喪失していた。
ビームを必死に避けつつ、ピピニーデンが確認する。
既にピピニーデン隊の残りは満身創痍のトムリアットが4機しかおらず…
ゾロ等は、先程爆散したのが最後の生き残りであった。
「く…ファラ・グリフォンのリカールはどうした!?」
「そちらまで気を回す余裕が――来ますっ!」
白いMSが見事な連携で2機のトムリアットを囲む。
「大尉、気をつけて下さい…!こいつら速いっ!!
この2機にトムリアット隊は殆どやられています!」
「うるさい!白い奴よりもシャッコーなのだ!
うっ!?…シャ、シャッコーめ…どこに行った!?」
僅かにルペ・シノと通信し、
そして部隊の状況を確認した僅かな間にシャッコーが視界から消えている。
この時、ピピニーデンは明確な恐怖をケモノに抱いた。
(く、くそ…やはり目を離してはいけなかったのだ!ルペ・シノが私の邪魔をするから!)
追い詰められたトムリアット2機が自然と背中を合わせてビームライフルで弾幕を張る。
もはやビームライフルしか射撃武器の弾薬はなく、
ピピニーデン機は頭部センサーの半分は抉られ、
胴体装甲も大きくひしゃげて片脚も動かない。
ルペ・シノ機も隻腕隻脚だ。
背中のバックパックからは煙が上がっている。
つまり両機ともにAMBAC手足を使う姿勢制御が満足に使えず運動性が大きく低下しているのだ。
背中合わせをする事で互いの死角を減らす苦肉の策だった。
「た、大尉っ、無駄弾を撃ちすぎています!」
「私に指図をするなァ!」
視界の端に、また墜ちていくトムリアットが見え
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