ジェヴォーダンの獣
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う。
それに…大尉は撤退する気など無いのではないか?
ピピニーデン隊は独立部隊だ。
好きにするがいい…リカールは援護する」
「ふふ…それは有り難い。
それに増援に向かっているというワタリー・ギラ戦闘小隊…
彼の部隊と共闘できるのは楽しみですよ」
こうしている今も、トムリアットとカーキ色のMS達はビームライフルの撃ち合いをしつつ
欧州の空を北上しているのだ。
ラゲーンからワタリー・ギラの増援が来れば挟撃の形が整う。
「ではこのまま獣狩りを続行します!」
「ああ…私も大尉が獣を討ってくれれば本国への手土産が増えて嬉しくはある」
リカールの後部座席にゆったりと腰掛けながらも、ファラは必死である。
今がまさに追撃を止めるタイミングとしてベターだろうが、
多少の無茶は覚悟で追うだけの価値がある。
ピピニーデンの、クロノクルの仇への拘りに付き合うのは危険な賭けだが価値があるのだ。
自分のすぐ真上にはもうギロチンの鈴の音が響いている。
しかし、ここで新型部隊を撃破、ないし1機でも捕獲できれば…
その上でアーティ・ジブラルタルを占領できればファラの首も繋がるかもしれない。
「メッチェ、リカールはまだいけるか?」
「はい!お望みとあらば、どこまでも奴らを追ってみせます!」
どんな時も、リカールのパイロットを務める副官メッチェだけはファラの味方だ。
メッチェならファラの首が繋がる為にはどんな無茶もしてくれるだろう事は確信できる。
「…メッチェ、優しいな…貴公は」
メッチェだけが、今のファラ・グリフォンの支えだった。
男としても愛する副官の横顔を後ろ斜めから眺めていたその時だ。
轟音と共に最前列のトムリアットが1機、火を拭いた。
「何事だ!」
ファラの目には、追撃目標達からのビームライフルが当たったようには見えない。
「ビームライフルによる狙撃です!カーキグリーン共ではありません!」
メッチェが叫ぶ。
「チィ…ッ、敵の増援が早かったか!何故接近に気付かなかった!」
「申し訳ありません、敵は太陽光に紛れていて…うっ!?ファラ様、お掴まりを!」
大型モビルアーマー・リカールが急上昇を始め、ファラが思わずよろける。
「どうした!?」
「先程火を拭いたトムリアットの熱源が膨張しています!
敵は、恐らくわざとエンジンに攻撃をッ!」
「っ!全機に散――間に合わん!」
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