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ヤザン・リガミリティア
野獣という男
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報は得ている。

ナンセンスに思えるがミノフスキー粒子の影響で、

今も戦闘をしていると思われる当事者達からの連絡は受け取れないのだから仕方がない。

大分、戦闘予定区域には近づいているがまだ暫くは間がある。

なのでウッソは、マーベットに雑談がてら前々から気になっていた事を尋ねる事にした。

 

「あの、マーベットさん」

 

「どうしたのウッソ。緊張してきた?」

 

「いえ、そういうわけじゃないんですが」

 

そういうわけじゃないのね、とマーベットは一瞬呆れたように天を仰いだ。

改めて通信機向こうの少年の逸材っぷりに恐れ入る。

普通はベテランになろうとパイロットは戦闘前は緊張するものだ。

自分のように。

 

(やはり普通じゃない…スペシャルなのね。ヤザン隊長といいこの子といい…。

自分が弱いって錯覚しちゃうわよ、もうっ)

 

こう見えてもマーベットはヤザンの地獄の特訓を潜り抜けた猛者だ。

その自負もあるし、幾度かの実戦でジェムズガンでゾロを撃破した事もある。

もっとも…上司のように単機で撃破とはいかず、

パートナーのオリファー・イノエとタッグを組んでの撃破であったが、

それでも立派にエース級の働きだ。

ジェムズガン単機でゾロを巧みに1対1に持ち込んで次々に墜とすヤザンが化け物なのだ。

そして、今マーベットの隣にはもう1人、化け物候補がいる。

自信が無くなろうというものだ。

 

「なんでヤザンさんはシャッコーに乗るんでしょう?

Vガンダムと基本性能はどっこいどっこいでも、

ヴィクトリーは合体分離もできるし…

総合的に見ればこちらの方が性能は上って言えるんじゃないでしょうか?」

 

「あぁそれね。

…ウッソ、もし自分が苦労して作ったモノを嫌いな人に盗られて、

しかもそれを盗った人が見せつけるように使ってたら、あなたならどうする?」

 

「え?それは勿論…嫌な気分になります」

 

「それだけ?取り返したくない?」

 

ウッソは少し首を傾げた。

 

「そりゃあ、まぁ…取り返したいです。…そういうことなんですか?」

 

「そういうことよ、きっと。

隊長がシャッコーに乗ってベスパを派手に攻撃すると、

ベスパのイエロージャケットの意識は嫌でもシャッコーに向かう。

隊長に攻撃が集中すれば、私達の被弾率が下がる」

 

「ヤザンさんは…僕らのために?」

 

「さぁ?隊長はそういう事、何も言わないから。

でも、そんな気がしない?あの人なら黙ってそうしそうでしょ?


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