野獣という男
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で壁に押し付けられて、
10秒とも20秒とも思える時間、そのままなすがままだった。
息苦しさを覚えて鼻で必死に息をするカテジナの呼吸音が艶めかしい。
「…っ、はぁ、はぁ…う……な、なんてことするのよッ…!傷物にされるなんてッ!」
2人の顔が離れた時、互いの口から細い唾液の橋が引かれていた。
男の顔を見るのに異常な気恥ずかしさを覚えるが、
カテジナは顔を背けたいのを堪えながらヤザンの目を睨み返している。
その様をヤザンは鋭く男らしく笑い、愉快そうに見ていた。
「いい子に待ってたらまたご褒美をやるよ!
こいつらは全部片付けておけ!」
書類の山を指して言い、すぐにヤザンは走ってモビルスーツドックまで走っていってしまう。
全く振り返らず走り去る所がこの男らしいと言えばらしい。
「…げ、下品で下劣な男…!あんなヤツ…、さっさと死ねばいいんだわッ」
すぐに開けっ放しになった部屋の扉まで駆け寄って、走り去った獣のような男の背中を見る。
カテジナがその背中を視界におさめると、
慌ただしく走り回る他のスタッフに紛れていた目当ての背の持ち主は、
さっさと廊下を曲がってしまって見えなくなった。
「あなたのような野蛮人は戦争でさっさと死ぬべきなんだわ!」
見えなくなった背中に精一杯叫ぶ。
「………………そうよ、死ぬべきだわ」
次いで吐き出されたその言葉は小さくそっと呟くもの。
カテジナは、温もりが残る唇をそっと指でなぞっていた。
◇
「ウッソ、調子はどうだ」
「はい、Vガンダムはいい調子ですよヤザンさん」
長得物を右腕で担いだシャッコーが複合複眼式マルチセンサーで右を飛ぶ白いMSを見る。
軌道は安定していてフォーメーションの崩れが無い事を確認したシャッコーの左肩には
ブルータートルのエンブレムがプリントされているが、
それ以外にはパッと見オリジナルのシャッコーと変わらない。
右を飛ぶVガンダム2番機からの元気な返事を聞いてヤザンは満足そうに目だけで笑う。
ついで左側を飛ぶVタイプ1番機にも通信を入れる。
「マーベット機はどうか」
「大丈夫です。ミノフスキー・フライトも順調です。
やっぱりジェムズガンとは違いますね…快適そのものですよ」
各地に潜むレジスタンスからの光信号を狼煙のように伝え続けて連絡をするという、
まるで旧世紀の中世のような伝達方式で北上するシュラク隊の情
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