野獣という男
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を皆に見てもらうか?」
ヤザンがどんどん近づいてくる。
今、カテジナはデスク仕事をしていた為に当然椅子に腰掛けているのだが、
長身で裸のヤザンが座っている彼女に近づくということは、
カテジナの顔のかなり側にオスそのものが近づいてくるという事だ。
「…っ、あ、あの…ちょっと!じょ、冗談、でしょ……、あっ!?」
喉まで真っ赤にして顔を背け、離れようと仰け反った拍子にカテジナは椅子から転げ落ちた。
尻をさすりながら見上げると、天井のライトを背に浴びてヤザンが見下ろしている。
「なに、もう出撃だからな。手早くすませてやるよ」
屈んだヤザンが、ぐいっと男臭い顔を近づけてくる。
(え、こ、これ…うそ……、ど、どうしよう…!どうすれば!?)
カテジナが思わず目を瞑る。
そういえばあの本にもこんな風に無理矢理唇を奪われるシーンがあった。
少女はそう思い、
と、同時に唇に固い弾力が当たっていた。
他人の体温が、柔らかで水気の多い唇でもろに感じられ、すぐにそれは離れて消えた。
「ふっ、ハッハッハ!なんだ、貴様も思ったより乗り気か」
「っ!あ、あなたは…!よ、よくも人の唇を汚して!!」
カテジナが真っ赤な顔でゴシゴシと自分の唇を腕で拭う。
「怒るなよ!たかだがキスだろうが!」
「たかだか!?人のファーストキスをッ!」
「お前が本気で嫌がれば止めてやるつもりだったんだがなァ。
からかうつもりがつい、な」
そう言って笑いながらヤザンはもうカテジナから離れていた。
唖然とするカテジナを置き去りにして、もうその体をパイロットスーツで覆っていた。
カテジナの顔が恥じらいでの赤から、怒りの赤に変わっていく。
華奢な肩が震える。
「最低ッ!!最低な男!」
立ち上がり、片腕を振り上げたカテジナがヤザンの頬目掛けてビンタを…
「おっと」
食らわせられなかった。
細いその腕はしっかりとヤザンの逞しい手に握られ止められた。
「くっ…離して!」
「貴様の反抗心は嫌いじゃない」
「なっ、なにを…――っ!むぅっ!?」
そのまま腕を引き寄せられて、またカテジナの柔らかい唇が獣のような口に覆われた。
今度はさっきのような軽いバードキスではない。
男の舌が、乙女の舌を巻き取って貪っていた。
カテジナは目を白黒させて、必死に暴れたがそれもすぐに終わった。
そのままの態勢
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