獣の安息 その1
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ならウーイッグの焼け野原にでも戻って暮らせ。
貴様の面なら娼婦の成り手ぐらいあるだろう。
黙っていれば顔と体だけはイイ女だからな、貴様は。抱くぐらいなら俺も相手してやるぜ?」
「…っ!またそんなことを!な、何てこと言うの、あなたって人は!本当に下品だわ!」
そういうニュアンスの嫌味とかからかいの言葉をいつも言われてしまう。
その度にカテジナは顔を赤くして、自分の体を抱いて庇って後ずさるのが恒例だった。
しかし、ヤザンに結構な力で頬をはたかれた事のあるカテジナが、
まだ懲りずにヤザンへ反論するのだから彼女も大したものなのだ。
「大体あなた達が、
レジスタンスの大人が守ってくれなかったせいでウーイッグは燃えたのよ!
あんな腐った大人だらけの街…燃えてよかったけど!
でも私はそのせいでこんな場所でベビーシッターの真似事なんて!」
大きな声でヤザンへがなりたてる。
彼女の背後では、カテジナに負けじと大泣きしているカルルマンもいる。
「…遭う度遭う度、喧しいコンビだ。
だが、萎縮せずにそれだけ吠えていられりゃあ大したもんだぜ。
貴様…見込みがあるかもしれん」
「な、何のよ!」
当たり散らすようにヤザンに大声をあげていただけなのに、
意外にも感心されてしまってカテジナは自分でもやや驚いていた。
何の見込みなのかは見当もつかないが、
一瞬、カテジナはヤザンの夜のお相手でも強要されるのかと思って
その有様を思わず想像してしまう。
ケダモノのように己に覆いかぶさって一心不乱に抱かれる様を夢想する。
令嬢である自分がケダモノが如き逞しい男に組み敷かれ、
官能小説ばりに愛され翻弄され女の嗚咽を漏らして弄ばれる。
カテジナの今までの人生の中で、このように何につけても自分の顔色を伺わないで、
寧ろ俺についてくれば良いと言わんばかりに
グイグイと引っ張ってくる野性味溢れる男はいなかった。
そんな男であるから、きっと女への愛し方も情熱的でワイルドなのだろう。
夜な夜な隠れて読み耽った官能小説に出てくる、貴婦人を弄ぶ逞しき色男のように。
妄想し、カァっと頬が熱くなって体が疼いたのを自覚した所で
ヤザンに声を掛けられて現実に引き戻された。
(ば、馬鹿なの?私は!なんて汚らわしくて、浅ましい想像を…)
「貴様はウーイッグでお嬢様をやっていたんだろう?学はあるな?」
「ひ、一通り教養は学んだけれどね…でも、だから何だというの?」
「ガキの世話だけじゃ物足りんのだろう?だ
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