獣の安息 その1
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今では忙しなく動き回る多くのレジスタンス達に慣れて混じって働いていて、
ウッソはヤザンの元で本格的なMS訓練すら始めていた。
そう、ウッソもここにいた。
カサレリアに残るという選択肢もあったのに彼はここに着いてきていた。
彼がどういう心で、
そしてシャクティにどういう言葉をかけて家を旅立ったのかはヤザンは知らない。
それはウッソとシャクティ2人だけの事だ。
だが、真剣そのものの顔で真っ直ぐにヤザンの目を見て、
「僕を連れて行って下さい」
と、そう言った少年を、ヤザン・ゲーブルは短く「あぁ」とだけ答えて了承したのだった。
シャクティが、酷く悲しそうな瞳でウッソを見つめ、
そしてヤザンにはウッソへのものとは対照的な
忌避するような視線を投げかけていたのは、ヤザンも覚えている。
本来ならば、シャクティ本人もウッソも…
シャクティ・カリンはカサレリアの森の家で留守番をし、
ウッソの帰りを待つつもりだった。だが…。
「いやだ…いやだよ、姉さん!俺は、姉さんとは離れない!」
様子がおかしいベスパのパイロットが
シャクティのことを姉と呼んで離れたがらなくなってしまった。
ようやく少しは動くようになってきた大火傷の体を無理やり動かして、
赤髪の青年が薄褐色肌の美少女に抱きつくという様は…
少し、というか大分皆を動揺させた。
あらゆる事に適応する強靭な精神を持つウッソも、
「ちょ、ちょっと!あなたは大人でしょう!?
シャクティはまだ子供で…!あっ、こら!は、離れろよこいつ!
僕のシャクティから離れろ!くっつきすぎだぞ!」
幼馴染の少女に抱きつく包帯だらけ男を引き剥がそうと躍起になったりしていた。
異質で異常な光景であった。
見ていた他の連中も呆気にとられ、
マーベットは「こいつ、ロリコン趣味ということなの!?危険だわ!」と
思わず首を絞め落とそうとする程で、
オデロとウォレスはとっさに背後にスージィを庇い、
「こ、怖いぃ…」とスージィは彼らの後ろで震えた。
常に控えめで自己主張せず、
また博愛精神溢れるシャクティもどうすれば良いのか分からずかなり困惑していたが…
しかし、この騒動でウッソが「僕のシャクティ」と言ってくれた事に対しては、
年相応の少女らしく顔を赤らめて、
後にウッソも言ってしまった事を思い出す度頬を染めるという心温まる一幕もあったのだが。
それはともかく…。
様子がおかしすぎるため、
程なくしてこのベスパのパイロットの
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