獣の安息 その1
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「ああ、大尉」
退室しようとするピピニーデンへ、ファラが声を掛ける。
「はっ」
「大尉は、私を送り届けた後…クロノクル中尉失踪の原因究明と探索に乗り出すのだろう?」
「無論です。その為に私は来たのですから。
我がトムリアット隊ピピニーデン・サーカスはシャッコー及びクロノクル中尉探索の為、
裁量の拡大を許されて独立戦闘部隊となっているのですよ」
ピピニーデンが胸を張って答えた。
お前に出来なかった事が私には出来る…そう態度で言っていた。
「ならば、苦汁をなめた先達として一つ大尉に忠告をしておこう」
ピピニーデンの整った眉と目が、ピクリと僅かに曲がった。
「…まぁ、そんな顔をせず聞いておいたほうが得だぞ?
大尉は地球は初めてだろう?覚えておくといい…。地球には、獣が住んでいる」
「ケモノ…?」
「そう、野獣だよ。オクシタニーの物の怪…。
ジェヴォーダンの獣だ。
シャッコー探索隊を全滅させた手腕…獣しか考えられん。
ジェヴォーダンの野獣がこちらに出向いて来ている可能性もある…気を付けろ」
あぁ、とピピニーデンも納得した。
兵らがそんな噂をしていたのを発着場で耳にしていた。
「それならかえって手間が省けるというものです。
その獣退治も、このピピニーデン・サーカスがやってのけてご覧にいれますよ。
サーカスは、獣の調教も得意としていますからね」
ピピニーデンの勇ましい口振りに
ふふっ、と短く笑ったファラは退室していく大尉を静かに見送った。
「甘く見ている奴は、獣に食われてしまうよ…?大尉」
メッチェにすら聞こえぬぐらいの小さな声で、ファラはそう呟いた。
◇
ウーイッグからそう遠くない辺境部カリーン。
旧時代には大規模な車両工場が構えられていて、
周辺にも従業員やその家族の住居をはじめ
様々な関連施設があって相当な規模であった工業地帯だが、
今では見る影もなく落ちぶれてただ廃墟が点在するだけの閑散とした森でしかない。
しかし、その旧車両工場の一部は密かに復旧されて地下には大規模な工廠がある。
リガ・ミリティアが復活させ拡張した
その秘密地下工場に東欧中に散り展開していたカミオン隊が集結していた。
当初は、リガ・ミリティアの規模を知らない戦災孤児組とウッソ達は、
「リガ・ミリティアってこんなにいたんですか!」と驚いていたが、
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