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ヤザン・リガミリティア
獣の時代
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「あの…少し家に寄らせて下さい。シャクティにも、色々言わないといけないことがあるし…」

 

すっかり落ち着いたウッソ少年が嘆願した。

 

「元よりそのつもりだ。

一旦、君の家に寄ってから工場に向かう。

レオニードだって、ベスパのパイロットだって置いたままだしね。

まさか、ウッソ君の家で引き取ってくれるわけじゃないんだろう?」

 

伯爵の冗談まじりの言葉にウッソは慌てて両手を顔の前で振る。

 

「こ、困りますよ、そんなの」

 

「ははは、冗談だよ。レオニードを引き取ってもらっちゃ、我々が困るしな」

 

既に、ウッソは伯爵の冗談にも苦笑するだけの気力が戻っていて、

初めて人を殺した人間のメンタルではない。

やはりウッソは特別スペシャル過ぎる。

談笑する2人を見て、ヤザンは難しい顔となっていた。

家を焼け出され、故郷を失ったカテジナも流れでカミオン隊に付いてくることとなり、

一行はウッソ宅まで、再び隠密のトロトロ運転で向かうこととなった。

 

「伯爵…森を探索していたゾロ隊が1機も帰還していないのは

ラゲーン基地も把握しているはずだ。

新手が来る可能性がある…空からの目に気を付けろ」

 

どっかと助手席に腰掛け、足を投げ出しているヤザンが

ウーイッグの破壊された食料品店からガメたソーセージを貪りながら言う。

 

「まったく、隊長が暴れすぎるからだ。はしゃぎおって」

 

木々の間を見事な運転さばきで抜けていくオイ・ニュング伯爵が、

ヤザンへじとりとした視線をぶつける。

 

「うるさいんだよ。ああでもせにゃ、あの場は危なかっただろうが」

 

「……カテジナさんから聞いたぞ。ウッソ君を殴りつけたそうだな」

 

「当然だな。あのガキ、コア・ファイターを玩具代わりだ」

 

「玩具にできてしまうのだな、あの子は。

隊長…ウッソ君は…………スペシャルなのか?」

 

お互いフロントガラスの向こうの景色へ目線を向け続けながら会話をしていたが、

そこで初めて伯爵がヤザンへ視線をよこした。

ヤザンは、ソーセージを食う手を止めて

シャッコーの簡易整備を老人と一緒にさせているウッソ少年の顔を思い浮かべる。

 

「…あぁ、スペシャルだ。奴は…ニュータイプかもしれん」

 

「ニュータイプ、か。昔に、そういう連中がいたとは聞いている。

隊長は、ニュータイプと会ったことがあるのか?」

 

「ある」

 

「どういう人間なんだ?」

 

「変わらんさ。
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