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ヤザン・リガミリティア
獣の時代
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しょうか。ウーイッグからはまだ戻らないんですか?」

 

「あぁ、追っていった隊長から合図があったみたいだよ。

ベスパが撒いたミノフスキー粒子のせいでまだ通信できんから、詳細は分からんが…

信号弾の色は安全≠セと言っているから、きっと大丈夫だ。

私とシャクティさんはお留守番で、カミオン隊がウーイッグまで迎えに行く」

 

「…そうですか」

 

シャクティの顔がやや曇った。

ウッソは、リガ・ミリティアの大人達が来て変わり始めている。

人の心の動きに、ウッソ以上に敏感なシャクティにはそれが分かった。

とくに、あの粗野で恐ろしい人…

ヤザンと出会ってしまったのが良くなかったのだと、シャクティには思えた。

 

(ウッソ…戦争に囚われては嫌よ…無事に戻ってきて)

 

素朴な美少女シャクティにだって願望や欲望はある。

いつか親に戻ってきて欲しい、というのもその願望の一つだ。

その時のため、戻ってくる親への目印としてヤナギランを植えている。

だが何よりも彼女が真に望むことはいつでもたった一つだった。

ウッソと一緒にカサレリアで暮らし続ける事…それだけがシャクティの願いである。

 

 

 

――

 



 

 

 

その後、カミオン隊と合流したヤザンとウッソらはウーイッグで探索を行った。

成果は、合流予定だったボイスン工場長の焼け焦げた遺体と、

コア・ファイターの残骸から回収した戦闘記録だけだった。

男泣きに泣く伯爵だったが、

ボイスンが死んで悲嘆にくれてもザンスカールに勝てるわけではない。

ボイスン達がウーイッグに集い果敢に抵抗運動をして見せたのも、

Vタイプを生産している旧世紀の車工場跡地から目を背ける為。

足を止めることなど、リガ・ミリティアの連中はとっくに出来ない所まで来ているのだ。

その事は、ウーイッグを故郷とするカテジナ・ルースには当然伏せられた。

ヤザンが、カミオン隊の皆にそういう風に提案すると、

 

「…そうだな、私達もあまり迂闊なことを言わないよう気をつける」

 

オイ・ニュングも同意した。

民間人に全てをさらけ出し、バカ正直に話す必要は無い。

寧ろ、抵抗運動を美しいものとして宣伝し、

後ろめたい、隠すべき暗部は隠す…それが伯爵の仕事の一つでもあった。

全てはザンスカールのギロチンに対抗する為…大事の前の小事ということだった。

 

このまま旧車工場にまで行って他方面から集う仲間と合流し、

Vタイプを完成させて月から来るシュラク隊を待つ…という予定なのだが、

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