獣の時代
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っと泣いていて喧しいことこの上ないが
赤ん坊の仕事は泣くことだというのはヤザンも知っていることだった。
「ゾロを堕とした……そのパイロットは死んだろうな。
死ぬのを承知で引き金を引いたんだろう?
お前は自分の意志で戦闘機に乗りウーイッグにまでわざわざ来て、そして人を殺した」
「っ!」
ウッソの脳裏に、撃ち落としたゾロから辛うじて這い出てきたパイロットの姿が思い出された。
爆撃した当人が、爆撃された街に落ちてきてどうなるか…。
それは火を見るより明らかだ。
ベスパのパイロットは、
ウーイッグの住民とレジスタンスに撃たれ、そして瀕死になった所をリンチにあって死んだ。
墜落したコア・ファイターのキャノピー越しに、ウッソはボロ雑巾のようになって死んでいく
パイロットの姿を湧いてくる涙と共に見ている事しか出来なかった。
それが思い起こされていた。
「もうガキ無垢じゃいられん。
お前は、殺さなければ殺される世界に自分から来たんだ。
ようこそ戦場へ、とでも言ってやろうか?
もう貴様は兵士になっちまったのさ」
「そ、そんな…!僕は、戦争なんかしたくありません!へ、兵士なんか…兵士になんかっ!」
「兵士でなけりゃ、ただの人殺しだ」
「あっ………………う、う…あぁ…!」
ハッとした顔をし、
直後に青い顔になった少年の瞳からポロポロと涙が溢れて、体が震えていた。
「…ベスパの人間狩りと同レベルになりたくなきゃ、真の兵士になるんだな…ウッソ。
でなけりゃ獣以下のクズに成り下がる」
それきり、ヤザンはもうウッソを叱責しなかった。
コア・ファイターを1機潰されたが、あれはカミオン隊に既に予備が1機あるし、
各地の工場でもう量産が始まっている。
実戦データを得るためにカミオン隊に先行配備されただけで、
そのデータも後で回収可能だろう。
シャッコーでの偵察の際に見つけたコア・ファイターの残骸は、
ウッソの腕前のお陰だろう…上手い堕ち方をしたようで原型は保っている。
問題はないだろう。
あるとすれば、目の前の少年のメンタルと、そして腕前だ。
弱くて問題なのではない。明らかに優れ過・ぎ・て・い・る・。
戦場になった街に1機のコア・ファイターで突撃し、
無数の敵がいる中で1機を堕として自分は生き延びている。
どれだけ脅威的なことか言うまでもないだろう。
(強すぎる…こいつは、新兵に有りがちな人殺しのトラウマなんざ抱えんだろう)
ヤザン自身には殺しの
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