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ヤザン・リガミリティア
獣の時代
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、あ、ぐ、ご…ごめん、なさ、い」

 

ヤザンが力を込めるとウッソの体は更に持ち上がり、そして首が絞まる。

苦しさもあるが、それ以上にウッソは怖かった。

大人の本気の怒りを生でぶつけられたのは初めてだった。

 

「歯を食いしばれ…!修正してやる!!」

 

「…っ!」

 

あっ、と口を開いたカテジナが、止める間もなくヤザンの鉄拳が少年の頬を殴りつけた。

少年の体が木の葉のようにすっ飛んで転がる。

 

「ウッソ君!?何をするんです!あなたって人は最低の大人よ!!」

 

「さっきから貴様は何なんだ…部外者の女がいちいちしゃしゃるな!

見たくないならさっさとどこにでも行けばいい」

 

「な、なんなの…!?さっきからあなたの物言いといい、態度といい!

大体、大人のあなた達が勝手に戦争を――あっ!?」

 

ヤザンの裏拳がカテジナの頬をしたたかに打つ。

カテジナは一瞬、己が何をされたか理解できずにいた。

カテジナはウーイッグのお嬢様だ。

父は商才があって実家は裕福。

特区として地球連邦政府の保護下にあり、

街全体が腐敗はあれど豊かだったウーイッグの中でさえ指折りの資産家だった。

殴られたことなど無い、名実伴ったお嬢様だった。

正確に言えば、ウーイッグが焼かれる直前に父の浮気を糾弾した際、

口論の弾みで頬をはたかれたが、それでもこんな強烈ではなかったし、

叩いた当人である父は狼狽えて逆に謝る始末でとても男らしさは無かった。

 

「俺は今、このガキと話しているんだ。

次にきゃんきゃん喚いて邪魔をしたら裸にひん剥いて放り投げるぞ」

 

「なっ…」

 

カテジナは羞恥や怒りで顔を真っ赤にし、

己の頬を抑えていた手で体を庇うように自分の体を抱き、そして口を噤んだ。

ヤザンは未だに転がるウッソに再び視線をやると、

よろよろと少年は立ち上がるところだ。

 

「ふん…丈夫だな。…痛いか?」

 

「は、はい…」

 

「生きているから痛む。下手をすれば貴様は死んでいたんだ。

………わかるな?」

 

「はい…」

 

賢い子供だ、と思いながらヤザンは続ける。

 

「後でフライトレコーダーを回収できれば分かることだが…。

ウッソ、貴様…何機堕とした?」

 

「あ、相打ちで…1機です…そ、その…

赤ん坊を抱えていた、お、女の人を…こ、殺した…ゾロを」

 

カテジナが抱いている赤子は、どうやらその時の子らしい。

さっきからヤザンの怒号に怯えてか、ずー
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