蜂を駆る獣
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する気は起きない。
「あっちの方はウーイッグですよ!あいつら、まさかウーイッグを爆撃する気じゃ…」
ウッソも着の身着のまま飛び出してヤザンの隣で、空を征く威容に息を呑んでいた。
ウッソに答えるようにカミオンの昇降台からニュング伯爵が言う。
「都市の爆撃だけにあんな大部隊を使うとは思えんな…。
他に狙いがあるんじゃないか…ん…?見ろ、全機がウーイッグに行くわけじゃなさそうだ」
伯爵の指摘通り、数機のゾロはカサレリアの森上空をゆっくりと周回し、
サーチライトまで照らしてしきりに辺りで何かを探しているように見えた。
かれこれ10分以上、7、8機程のゾロはずっと探索を続けていて、
森に潜むヤザン達は息を殺して身を潜め、その様子を見ていた。
そしてヤザンは気づく。
「…ゾロの周回ルート…そうか。奴ら、シャッコーを探していやがる」
「あの新型をか?こんな夜間に大部隊を派遣してまで探すほどの新型なのか?」
いつの間にか後ろに来ていたロメロ爺さんがふがふがと言う。
「……さぁな。大事なのは新型か…ひょっとしたら、その中身か」
ヤザンはちらりと小屋を見る。小屋の中で眠るあの敵パイロットを。
「見ろ…相当なしつこさだ。奴らかなり必死だぜ」
ビームローター音を響かせ
いつまでも夜の空を旋回する忌々しい光景を見ながらヤザンは短く舌を打ち、
そしてガタガタ震え嗚咽を押し殺して今も泣いているスージィを見る。
次いで互いに抱き合い怯える子供達を見た。
ウッソも、そして彼の腕を握るシャクティも酷く不安そうな顔だった。
(…別に、だからという理由わけではない)
誰に言い訳するでも無く、何とは無しに自分にそう言い聞かせながら、
だがヤザンの心には確かな闘争心が湧き上がっている。
生まれついた己の凶暴性を解放するのに
良い思案が浮かんだに過ぎないのだ、とヤザンは心で独白し、
ゾロの群れに対抗できそうなMSの姿を思い浮かべていた。
「…ロメロ爺さん、シャッコーの電子系、直っているな?」
「んぁ?あぁ、そりゃ直したが…一応の応急処置だぞ」
「動くんだな?」
「…分からん。まだ試運転しとらんからな」
「ぶっつけ本番か…まぁいい。シャッコーを出す。全員離れていろ」
一瞬、ヤザンが何を言っているか理解できず
ロメロは普段のとぼけた顔を更にとぼけたものにした。
「おいおい、爺さんがそんな顔すると本当のボケ
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