蜂を駆る獣
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ではないからと受け入れているらしいのを見て哀れには思わない。
もっと悲惨な生活もあるとヤザンは知っているが、
ヤザンの腕は半ば無意識に少年へと伸びていたのだった。
「あ…、へへ…」
少年はかなり嬉しそうな様子で、やはりヤザンの予測が当たっていたようだった。
だが、ヤザンでなくともこの年頃の親無し子が何を求めているのかは分かるだろう。
「でも…小僧じゃありませんよ。ウッソです」
しかし、少年はそこを訂正するのは忘れなかった。
――
―
その日は、窓も締め切り音を殺してウッソ宅で一晩を明かす事となって、
重傷で意識不明の敵パイロット
(シャッコーのコンピューターも一部破損してパーソナルデータ閲覧不可)も
彼の家で有り合わせの薬品で治療をした。
医師のレオニードがいたからそれでも命を取り留める事が出来たが、
敵パイロットは本来ならば死亡していたであろう重傷で放置していても動けない。
なのである程度の目処がたってからはシャクティが看護を代わって行っていた。
ベッドにはベスパのパイロット、ソファーにウッソとシャクティ、
敵が目覚め抵抗する万が一に備えて床に毛布を敷きヤザンが寝転び、
カモフラージュして隠した外のカミオントレーラーにはその他の連中が寝ていた。
そんな夜…。
「きゃあぁぁ!!」
寝静まっていた所に響いてきた空気を切り裂くようなビームローター音に、
まだ10歳にもなっていない少女スージィが悲鳴を挙げて泣き叫んだ。
「スージィ!静かにしろって!ばれちまうだろ!」
オデロとウォレンが必死に宥めるも、
ゾロの爆撃で故郷と家族を失った少女のトラウマはそう簡単に消えてくれない。
ヤザンとウッソ達が小屋から飛び出し、それとほぼ同時にカミオンで寝泊まりしていた組も
バタバタと起き出して皆が警戒態勢に移っていた。
「オデロ!さっさとそのガキを黙らせろ!バレないとも限らんのだぞ!」
「わ、分かってますよ!けど…泣けちゃうのはしょうがないでしょ!」
ヤザンの怒号に、オデロは(あんたの声の方がデカイよ!)と思ったのは内緒だ。
「すごい数だな…3、4………12、13…おいおい何機おいでなんだ?
かなりの大編成だ…ベスパめ、なんのつもりだ」
茂みに身を隠しながら取り出した小型双眼鏡で空のヘリをつぶさに観察するヤザン。
これ程の数ともなると、さすがのヤザンもジェムズガン1機でどうこう
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