蜂を駆る獣
[2/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の子達を矢面に立たせるつもりはない。あくまで手伝いだけだ。
分かるだろう…?隊長」
「…」
ジェムズガンから忌々しそうな舌打ちだけが静かに聞こえる。
「ふん…まあいいさ。ガキの面倒は拾った奴がしっかり見てくれりゃあな。
………受け取れ、土産だ」
「そうらしいな」
完全に着地したジェムズガンが右手のオレンジのMSを放り投げ、
左手の少年をある程度の気遣いと共に放り投げた。
「うわ、わわっ!」
少年が転げ落ちる。
「なんだ。隊長も子供を拾ってきたんじゃないか」
オイ・ニュングがわざとらしく驚いてみせた。
勿論、彼は戦闘の様子を観察していたので知っているのだが、
先程文句を言われた反撃だ。
「拾った子供の面倒は拾った奴が見る…
ということはこの少年は隊長が面倒見てくれるということかな」
コクピットからワイヤーで飛び降りてきたパイロットが、
無言のまま伯爵を睨みつけた。
「…あぁ、いる間はそうしよう。だが、このガキはもうお役目御免だ。すぐに突っ返すさ」
売り言葉に買い言葉なのは明らかだが、浅黒肌で厳しい顔付きの金髪男は了承した。
「戯言は終わりだ。本題に入るぞ、伯爵」
「そうしよう」
年の差はあれど、互いにリガ・ミリティアの重要ポストにいる人間。
隊長ことヤザン・ゲーブルと伯爵ことオイ・ニュングは対等な戦友という間柄に近い。
文句の言い合いも意見のぶつけ合いの延長に過ぎない。
「なにはともあれ、よく迎えに来てくれた。
隊長がいなければマーベットがどうなっていたか分からん。
それに…」
両手を差し出してヤザンを歓迎したニュング伯爵は、
彼を労い肩を叩きながら地面に転がるオレンジのMSを見、言葉を続ける。
「ベスパの新型らしいな。これは大収穫だ」
ヤザンも仏頂面のままニュングの視線を追って新型を見る。
そして自分に駆け寄ってきた色黒長身の美女を見つけると、
「マーベット!挨拶は後回しだ。パイロットはまだ生きているかもしれん。
抵抗する力は無いだろうが、油断せず引きずり出せよ」
その女…コア・ファイターから降りてきて
一目散にヤザンへ駆け寄ってきていた部下に命を飛ばす。
「はい!」と威勢よく返事をしたマーベットは銃を片手に煙上がるMSへと駆け上ると、
まだ電撃の残り香で熱々の開閉レバーパネルに触れて
「あちっ!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ