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ヤザン・リガミリティア
蜂を駆る獣
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の子達を矢面に立たせるつもりはない。あくまで手伝いだけだ。

分かるだろう…?隊長」

 

「…」

 

ジェムズガンから忌々しそうな舌打ちだけが静かに聞こえる。

 

「ふん…まあいいさ。ガキの面倒は拾った奴がしっかり見てくれりゃあな。

………受け取れ、土産だ」

 

「そうらしいな」

 

完全に着地したジェムズガンが右手のオレンジのMSを放り投げ、

左手の少年をある程度の気遣いと共に放り投げた。

 

「うわ、わわっ!」

 

少年が転げ落ちる。

 

「なんだ。隊長も子供を拾ってきたんじゃないか」

 

オイ・ニュングがわざとらしく驚いてみせた。

勿論、彼は戦闘の様子を観察していたので知っているのだが、

先程文句を言われた反撃だ。

 

「拾った子供の面倒は拾った奴が見る…

ということはこの少年は隊長が面倒見てくれるということかな」

 

コクピットからワイヤーで飛び降りてきたパイロットが、

無言のまま伯爵を睨みつけた。

 

「…あぁ、いる間はそうしよう。だが、このガキはもうお役目御免だ。すぐに突っ返すさ」

 

売り言葉に買い言葉なのは明らかだが、浅黒肌で厳しい顔付きの金髪男は了承した。

 

「戯言は終わりだ。本題に入るぞ、伯爵」

 

「そうしよう」

 

年の差はあれど、互いにリガ・ミリティアの重要ポストにいる人間。

隊長ことヤザン・ゲーブルと伯爵ことオイ・ニュングは対等な戦友という間柄に近い。

文句の言い合いも意見のぶつけ合いの延長に過ぎない。

 

「なにはともあれ、よく迎えに来てくれた。

隊長がいなければマーベットがどうなっていたか分からん。

それに…」

 

両手を差し出してヤザンを歓迎したニュング伯爵は、

彼を労い肩を叩きながら地面に転がるオレンジのMSを見、言葉を続ける。

 

「ベスパの新型らしいな。これは大収穫だ」

 

ヤザンも仏頂面のままニュングの視線を追って新型を見る。

そして自分に駆け寄ってきた色黒長身の美女を見つけると、

 

「マーベット!挨拶は後回しだ。パイロットはまだ生きているかもしれん。

抵抗する力は無いだろうが、油断せず引きずり出せよ」

 

その女…コア・ファイターから降りてきて

一目散にヤザンへ駆け寄ってきていた部下に命を飛ばす。

「はい!」と威勢よく返事をしたマーベットは銃を片手に煙上がるMSへと駆け上ると、

まだ電撃の残り香で熱々の開閉レバーパネルに触れて

 

「あちっ!
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