蜂を囚える獣
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クロノクルは自由になりつつあるシャッコーの目を見開いた。
真っ赤なツインアイに闖入者の正体がはっきりと映し出された。
「子供…!?子供がこんなもので目眩ましを!
こいつもゲリラということか!?」
次から次に起こる時には起こるものだ。
クロノクルの思考が目まぐるしく回る。
この少年をどうするか。
ゲリラと思しきことから殺すのか。まだ子供なのに?
一瞬で僚機を失った。まだ狙われている。敵は強い。
テスト機体を失うわけにはいかない。
女王マリアの弟として、姉の顔に泥を塗るわけにはいかないのだ。
だが自分は無様にもトラップに引きずり込まれたかもしれない。
この子供を盾にできるか?
目的のためなら手段を選ばない非道のゲリラなら一緒に攻撃してくるのでは。
自分は誇り高きザンスカール軍人で敵とはいえ子供なら保護して然るべきなのでは。
クロノクル・アシャーは優しい気質を持っていたし生来生真面目であるから、
迷いがぐるぐると脳内を巡り、しかも明確な答えが一瞬で導き出せなかった。
迷うこと数瞬。
それだけあれば戦場では充分だった。
「っ!!」
センサーが熱源反応の急接近を叫んでいることに僅かな間、気付けなかった。
「ジェムズガン!!?」
クロノクルは防塵マスクの内側で息を呑む。
モニターいっぱいに映るジェムズガンの薄緑のゴーグル。
格下の旧式MSのセンサー光ですらクロノクルには不気味に見えた。
反射的にシャッコーを急速後退。
「フハハハ!随分簡単に懐に入らせてくれる!」
高笑いとともにジェムズガンが逆手に持つフェダーインライフルを振りかぶる。
まるで銃身を握りしめライフルの尻で相手を殴ろうとしているかのようだったが、
その銃床からビームサーベルが出現しシャッコーへと襲いかかる。
「そこからビームサーベルが!?こ、この旧式が…!その程度!」
クロノクルは退がりつつも大腿部からサーベルを取り出して迫るサーベルを切り払った。
ジェムズガンが旧式だったからこそ、
クロノクルと新型のシャッコーの反応の良さでサーベルを切り払えたが、
もしヤザンがもう少し質の良いMSに乗っていればここで勝負は決まっていただろう。
「ああああっ!?うわあああ〜〜っ!!」
シャッコーの装甲から叫び声があがる。
この場にはもう1人、人間がいた。
彼は、ただの少年とは思えない程粘り強く装甲に引っ付いていたが、
突然ジェムズガンが迫ってきた
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