蜂を囚える獣
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である猫目複合複眼式マルチセンサーが見開く。
真っ赤なセンサー光に走査線が走り、高速で離れゆく航空機を捉えた。
◇
「あれは…パラグライダー!?
しかもこんな所にベスパがいるなんて聞いていませんよ、伯爵!」
コア・ファイターの操縦桿を握り締めながらマーベットは通信の相手に文句をぶつけた。
ポイント・カサレリアは静かで牧歌的な森で、戦火の足音は遠くにあった筈だった。
その証拠に呑気に民間人がパラグライダー等で空を漂い遊んでいるのだが、
その平和な空でオイ・ニュング達はこそこそ試験飛行をする予定であった。
が、カサレリアの空にベスパがいる。
「私だってこんな田舎にベスパが来るなんて思わなかったのだ。どうにか振り切ってくれ」
「簡単に言ってくれちゃって…!
吹き上がりが悪くて…ジョイントコアがだめで…!」
通信距離はそう遠くない筈だがベスパのMSがミノフスキー粒子を撒いているのだろう。
音が掠れ始めている。
予定通りの性能が出ていればコア・ファイターの機動力はゾロのヘリ形態トップターミナルを振り切るのは容易い。
だがやはり各地で別個に生産したパーツを、
カミオン大型トレーラーで移動している最中に組み立てての一発目の飛行ということで、
カタログに無い不調が出まくっている。
本来はその不調を洗い出すための試験飛行なので
完成時の質を高めるためにも膿出しは寧ろ望む所なのだが、
そのテスト中にベスパに遭遇してしまったのは不幸としか言いようがない。
トラブルが命取りになる。
森の中で、双眼鏡からハラハラとマーベットの様子を伺っている
少年と老人も認めるコア・ファイターの不調っぷり。
「やられちゃいないよ!」
「マーベットはよく持ってる」
「あんな機体で良く飛ばしたよね」
「こんなところに誰がベスパのイエロージャケットが来ると思う!」
「…パラグライダーらしいの…見えなくなっちまった」
少年…黒髪でややタレ目、鼻っ柱が強そうな悪ガキ風味の彼はオデロ・ヘンリーク。
見たこともないオレンジのMSやゾロ、コア・ファイターが掻き乱した風に煽られ
流されていったパラグライダーの心配をしている辺り心は優しい。
老人は頭頂が禿げ上がって側頭に白髪を残すのみ。
顔は皺深くいかにも老爺で、名をロメロ・マラバルといった。
カミオンの昇降台に昇って固唾を呑んで見守る二人を、
これまた地上からリガ・ミリティアの面々が見守
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