潜む獣
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しな…
ガンイージとヴィクトリーを待っている余裕は無いかもしれん。
いざとなりゃジェムズガンでも仕掛けるぞ。覚悟しておけ、オリファー」
その言葉にオリファーも頷く。
「幸い、俺の注文したア・レ・の開発は間に合ったからな。
技術部連中にはまたおごってやらなきゃならん」
「連邦の払い下げ品も手に入れやすくて改良も簡単だって言ってましたし、
おごらなくていいんじゃないですか?隊長の懐も苦しいでしょう」
「金なんざ持ってても使う機会はこれぐらいだからな」
「まぁ、そのお陰で俺もしょっちゅう御馳走になっちゃってありがたいですけど」
オリファーがわざとらしくヤザンの前で両手を合わせる。
こいつ、とヤザンは軽く笑った。
「伯爵の許可は取り付けてあるんだ。隠れて逃げてるだけなんざ性に合わん。
我が物顔のベスパに吠え面かかせてやるぜ…」
ヤザンが手に持った資料に写る、MSの身長以上の砲身を誇る長得物のビームライフル。
そしてゾロアットのビームストリングスの技術をごっそり盗用させてもらって改良した、
短い柄の電撃ワイヤーロッド。
ヤザンが発注したアレ…。
それは彼がグリプス戦役時に愛用したフェダーインライフルと海ヘビだった。
ティターンズのMSの多くが使い回した非常に優秀なガブスレイ用ライフルと、
ヤザンの愛機ハンブラビの特徴的な兵装であるそれらは、
民間企業や小金持ちですら旧式のMSをまるごと買えてしまう現代では
一武装を入手するのは容易だった。
現代技術で手直しすれば現役復帰できる程保存状態の良い物も多く、
レジスタンス技術部が当時の使用者ヤザン・ゲーブルの意見を存分に入れて改良した結果、
フェダーインライフルU、海ヘビUとして2つの武器は現代に復活し生産が始まっている。
ただの旧式の現代レプリカだと笑うなかれ。
使い心地もそのままにリバイバルされたこの武具が、野獣の手に渡った時…
ジェムズガンでさえ恐ろしい敵に化けることをまだザンスカールは知らない。
ザンスカール帝国の軍隊であるベスパ。
その地上侵攻の先遣隊である精鋭部隊イエロージャケットと言えば
『ベスパのイエロージャケット』として多くの人間に恐れられる兵士だった。
彼らは苦もなく地上を蹂躙し続けたが、
ヨーロッパのとある地区に侵攻した途端にその快進撃が止まることになる。
そこには獣が住んでいた。
悍ましい速度で地球を蝕む蜂は、藪に潜む獣に食われているらしかった。
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