置き去りにされた獣
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「あぁ」
「俺も歴史の授業で習いましたよ。連邦の精鋭部隊だったんでしょう?
やっぱリガ・ミリティアとは違うんですか?」
「当たり前だ。やってたことには多少問題があったが、腕っこきは集まっていた。
それをサポートする整備士も施設も一流…金も湯水のように使えたもんだ」
やや眉をしかめて隊長が金のオールバックを掻き上げた。
「へぇー…羨ましいですなぁ。あの連邦にそんな時代があったなんて、
テキストには載ってますがやっぱ本物を見ないと疑ってしまいます」
「その本物に訓練をつけてもらったんだ。泣いて喜ぶんだな!」
粗暴で獰猛な、だが男らしい笑い。
「ティターンズ大尉…ヤザン・ゲーブル、か。
教本にも載ってる歴史の生き証人に訓練つけてもらってるなんて…
未だに信じられませんよ」
「ハンッ!どうせ教本には30バンチ事件とかしか載っていないだろう?
くだらん嫌味を言ってる暇があったらさっさとリストを見せろ。
候補は絞れたんだろう?」
「はい、コチラです」
軽く頭をはたかれたオリファーはそんな事に意も介さない。慣れっこだ。
それにオリファーの言葉に嘘は無い。本当に信じられない程彼は嬉しいのだ。
70年程前、確かにティターンズは歴史に残る残虐事件を起こしたのは
後世の者たるオリファーは知っているし、ティターンズのホロコーストは許せない。
だが、今の世代の人間にとって
1年戦争やらグリプス戦役やらは過ぎ去った歴史の1ページでしかない。
冷凍睡眠から目覚めた若いままの当事者が目の前にいてもその罪を糾弾する気にはなれず、
寧ろ歴史に残る大戦争の経験者として一軍人として尊敬の念を抱いてしまう。
犠牲になった過去の人間には申し訳ないが…とオリファーは思いつつ、
やはりヤザンに尊敬と憧れを抱かずにはいられない。
それに、ヤザンの実年齢は
リガ・ミリティア最年長であるロメロ爺さんの84歳を超えて91歳なわけだが、
冷凍刑のお陰で老化の止まっていたヤザンの肉体年齢、精神年齢はオリファーと同年代だ。
戦い盛りの男が軒並み戦死してしまっている宇宙戦国時代の今、
二人は貴重な同性同年代のMSパイロットだ。馬が合う。
紙媒体にリストアップしていた最終候補生の一覧を隊長…ヤザンに見せた。
「ふむ……」
浅黒い顎を軽く擦り目を通す。
「リガ・ミリティアの秘密主義にはうんざりだな。
スコアは閲覧できても個人情報は全部閲覧不可とは。
これじゃあ男を集められ
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