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ヤザン・リガミリティア
置き去りにされた獣
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現代では雑魚の代名詞たるジェムズガンだって修理費用は激安とまではいかない。

 

「そうカリカリするな。訓練はこういう実戦形式でないと体が覚えん。

貴様らの上達具合を見りゃジェムズガンの修理代くらい安いもんだ」

 

しかしヤザンはあくまで費用がかさむ訓練をバカスカ行う。

これまでもこうだし、多分今の発言から思うにこれからもこうだろう。

 

「しかしですね隊長…!」

 

「スポンサーを納得させるくらいの費用対効果は出してみせるさ。

いいから今は黙って訓練に集中しろ。…よし、余計な考えばかりしてる貴様だ!

次、マーベット!来い!」

 

「う…しまった…」

 

マーベットは小声で唸った。

 

「来ないなら俺から仕掛けさせて貰おうか!」

 

「うわっ…ちょ、ちょっと隊長!きゃあ!」

 

慌ててコクピットハッチを閉めたマーベット。

2分後、オリファー機の横に同じように倒れ伏すことになるのだった。

 

こうしてザンスカールが本格的に建国されるまでの期間、

リガ・ミリティアのパイロット候補生達はMS隊総隊長の地獄の訓練を潜り抜けることになる。

 

 

 

 



 

 

 

 

リガ・ミリティアの秘密工場兼アジトの一室で、

やや形式の古い据え置き型コンピューターとにらめっこしているメガネの男。

地獄の訓練を突破し今では立派なヤザンの右腕となったオリファー・イノエだ。

そんな彼の元に事務仕事を押し付けた

彼の敬愛し畏怖する上官がコーヒー片手にやってきた。

 

「どうだオリファー。人選は進んでいるか?」

 

「…ええ、お陰様で。隊長のお陰でデスクワークの訓練までこなせてます」

 

金髪のリーゼント頭の隊長からコーヒーを受け取りちびりと口をつけたオリファーが愚痴る。

 

「言うな。俺は他にもやらなきゃならんことがある。

MS隊統括なんて言えば聞こえはいいが…実態はただの尻拭いと雑用だ。

チッ、こんなゲリラ組織やってられん」

 

実際、彼の仕事は多い。

MS隊の訓練、パイロットの人材発掘、

リガ・ミリティアが独自に進めているMS開発計画のテストパイロットを多く務め、

技術部との意見交換にも忙しい。

過去、大小様々な規模の作戦に幾つも従事した経験から

何人ものジン・ジャハナム(リガ・ミリティアの首領。何人もの影武者がいる)とすら

作戦会議を共にしたこともある。

 

「隊長が昔いた組織…ティターンズでしたっけ?」

 
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