大会に向けて
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第三者side
カッカッカッカッカッ
何もないその空間を足早に進んでいる黒髪の女性。そんな彼女のすぐ隣に、突然一人の男が現れた。
「お前のとこの奴、ずいぶん楽しそうなことしてんだな」
その男はニヤニヤとした笑みを浮かべながらそう話しかけるが、女性は歩く速度を緩めることなくその横を通り過ぎようとする。それが気に食わなかったのか、男は先に行こうとする彼女に不敵な笑みでさらに続けた。
「まぁ、最後の記念にはいいんじゃないか?」
その言葉を聞いた途端、緩むことのなかった足が止まり彼女は男の方へと視線を向けた。
「あら?心配してくれてるの?」
「そんなんじゃないよ。ただ、お前がどんな気持ちなのか気になっただけだ」
そう言ってイヤらしい笑みを浮かべた男を見て、黒髪の女性は鼻で笑ってみせる。
「別に。私は私がやるべきことを全うするだけだからね」
「ふーん」
その言葉にウソ偽りはないようではぐらかされた格好になった男は不満げな表情を浮かべる。その姿にしてやったりといった感じなのか、女性は踵を返しその場から姿を消した。
「ププッ、はぐらかされてやんの」
そんな男の後ろから姿を現した青年はわざとらしい笑いを見せて挑発を行う。ただ、それは彼には響いていないようで、男はタメ息をつくに留まっていた。
「何々?シカト?」
「お前・・・相変わらずうるさいな」
さらにその後ろから姿を見せる男。整えられた髪型をした男は、肩を組んでなおも挑発している青年へ鋭い眼光を向けていた。
「いいじゃん。むしろお前たちが大人しいだけなんじゃないの?」
「我々は規律を重んじるべき存在だ。お前のような軽率な行動を取る輩と一緒にするな」
「はいはい」
堅苦しいといわんばかりにその場から離れようとする青年に対し、先ほどまで肩を組まれていた男は逆にそれをやり返している。
「お前も本当は心配なんだろ?これからのことを考えると」
「え?なんで?」
男からの問いかけにキョトンとした表情を見せる青年。その姿は二人が予期していたものとは異なっており、彼らは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
「やっと俺の願いが成就するんだ。楽しみ以外の感情が出てくるわけがない」
高笑いを浮かべながら男の腕を振り払った青年はその場を立ち去る。残された二人は顔を見合わせると、肩をすくめていた。
「あいつはそう言う奴だったな」
「まぁ・・・だからこそ気に入られたんだろうしな」
シリルside
「いやー、腹減ったぁ」
「遊
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