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神々の塔
第二十話 蛇の神々その二

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「そのヨルムンガルドもな」
「神様と言えるな」
「この塔にもな」
「おられるな」
「神霊としてな」
「そやな、わい等はまだ会ってへんが」
「ヨルムンガルドの父親はロキや」
 シェリルはこのことを指摘した。
「北欧神話の神様のうちの一柱や」
「この世界やと火の神やな」
「ヴァルハラのな」
 北欧神話の系列のというのだ。
「元々は巨人族それもな」
「火の精霊の系統のやな」
「そうやったが」
「ヨルムンガルド神か。世界は違うが我等とは仲がいい」 
 ユルルングルがまた言ってきた。
「親友同士とさえだ」
「言えますか」
 メルヴィルは応えた。
「そうなんですか」
「気のいい神だ」
 ヨルムンガルドはというのだ。
「実にな」
「この世界では」
「ただ巨大なだけでな」
 それのみでというのだ。
「普段は海中で眠っている」
「それだけですか」
「毒はあるが」
 それでもというのだ。
「しかしな」
「気質は大人しいですか」
「そうした神だ、彼の兄のフェンリル神ともな」
「仲がええですか」
「我々はな」
「狼は実は大人しい」
 シェリルはこの生きもののの話もした、人を襲うだの喰らうだのいうのはあくまで童話や物語のことでしかないのだ。
「それで、ですね」
「そもそもそちらの世界の神話では世界を滅ぼすというな」
「ラグナロクの時に」 
 シェリルは虹蛇に答えた。
「そうですね」
「しかしそれまでは何もせぬな」
「確かに」
 シェリルもそれは頷いた。
「何もしません」
「神々と戦うにしても」
「人には何もしません」
「そう定められてるだけでな」
「悪かというと」
「言えん、ラグナロクは破壊からの再生であり」
 一旦世界は滅びそこから新たな世界が生まれる、それが北欧神話のラグナロクであるのだ。このことははっきりと書かれている。
「悪かというとな」
「ちゃいますね」
「そうだ」
「そういえば」
 メルヴィルは考える顔で話した。
「ニーベルングの指輪では」
「ロキはローゲという名前でな」
「最後炎になって神々も小人も焼き尽くす」
「両方な」
「そやけどな」
 メルヴィルはさらに言った。
「人間は残る」
「そやな」
「少なくとも人にとって悪い存在やない」
 ニーベルングの指輪のローゲはというのだ。
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