第十九話 友情その十三
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「出来れば」
「そのこともですね」
「私の望みよ」
「そうですね、ですが夢見は」
この務めはとだ、牙暁は答えた。
「やはり」
「この世界には必要ね」
「はい」
どうしても、そうした返事だった。
「まさに」
「そうね、わかっておるわ」
「では」
「貴方がなのね」
「あの方の後は」
「血もつながりがあるし」
「はい、僕は貴女達の一族です」
その中にいるからだというのだ。
「ですから」
「それ故に夢見も出来ているし」
「逆に言えばあの方の他のお力はなく」
それでというのだ。
「出来ることはです」
「夢見だけね」
「そうですから」
「姉さんの様なことはね」
「出来ないです」
とてもというのだ。
「申し訳ないですが」
「いえ、それは姉さんが特別なだけよ」
庚は牙暁の謝罪に冷静に返した。
「姉さんのあの力は歴代の夢見の中でも特別よ」
「桁外れの強さですね」
「ええ、神様と言ってまでね」
そこまでというのだ。
「差支えないまでによ」
「お強い」
「そこまでのものだから」
それ故にというのだ。
「もうね」
「もう一人のあの方が完全に出られ」
「姉さんにとって代わって」
そうなりというのだ。
「そしてね」
「あの力を自分のものとすれば」
「まさにね」
それこそというのだ。
「完全にね」
「僕達の願は潰えて」
「天の龍の運命も地の龍の運命もね」
そのどちらもというのだ。
「潰えるわ」
「そうなりますね」
「だからね」
「何としても」
「もう一人の姉さんからよ」
「丁様をお救いする」
「そうするわ、さもないと世界は何もなくなって」
そうなってというのだ。
「地球は命の再生もよ」
「出来ないまでになりますね」
「人間もいなくなってね」
「まさに永遠に死の星になりますね」
「もう一人の姉さんの中にあるのは破壊よ」
それだというのだ。
「他にはね」
「何もないですね」
「ええ、破壊し尽くせば」
そうすればというのだ。
「後はね」
「もうどうでもいい」
「姉さん自身が滅んでも」
「構わない」
「破壊への願いとただ殺したい」
そうしたというのだ。
「狂気がね」
「あるだけですね」
「姉さんのまさに裏返しで」
「そうしたものしかない」
「恐ろしい魔物よ、その魔物から」
庚は強い決意、今は牙暁にだけ見せるそれを出して彼に話した。
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