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第十九話 友情その十二

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「あの姉さんは」
「何もかもを破壊する」
「地の龍の勝利は多くの命を犠牲にしてでも」
「地球を救う」
「それが表面だけにしても」
 それでもというのだ。
「そうしたもので暫くすれば」
「地球の命は戻っていきます」
「そうなるわ、けれどね」
 それでもというのだ。
「もう一人の姉さんはまさに永遠によ」
「地球の表面に何もいなくなる」
「そうした風にしてしまうわ」
「破壊による再生ではなく無に帰す」
「そうするわ、そして姉さんだけになって」
 もう一人の彼女だけになりというのだ。
「何もかもがなくなった世界を見て笑うのがね」
「あの方の望みですね」
「その筈よ、そして姉さんは」
「戦っておられます」
「もう一人の姉さんと。けれど」
「刻一刻とです」
「姉さんは追い詰められていっているわ」
 庚は深刻な顔で述べた。
「間違いなくね」
「左様ですね」
「そして私は自分ではね」
 今度は歯噛みして言った。
「その姉さんを助けられない」
「それが出来るとすれば」
「貴方達かね」
「天の龍の人達ですね」
「そうなるわ、それと」
 庚はさらに言った。
「神威が地の龍になって性格が変わる」
「人の心を失う」
「それはね」
「もう一人のですね」
「姉さんの仕業ないかしら」
「他には考えられないですね」
 牙暁もその話を聞いて言った、見れば彼も考える顔になっていた。そのうえで庚に対して応えたのだった。
「そういえば」
「そうね、だからね」
「彼にですね」
「おそらく彼が地の龍になるから」
「そのことをですね」
「何処となくね」
 それでというのだ。
「伝えてくれるかしら」
「わかりました」
 牙暁は庚に確かな声で答えた。
「その様に」
「お願いするわね」
「はい、ただ」
「ええ、もう一人の姉さんにはね」
「気付かれないことですね」
「今も聞かれない様にね」
 その彼女にというのだ。
「気を付けているから」
「そうですね」
「彼に対してもね」
「何処となくですね」
「お話してくれるかしら」
「そうします」
 牙暁の返事は一も二もないものだった。
「それでは」
「お願いするわね」
「打つ手は全て打つことですね」
「そうよ、そして姉さんも出来れば」
「今のお務めからですね」
「もう長い間行っているから」
 それでというのだ。
「終わりにね」
「したいですね」
「ええ、ずっと一人でね」
「あのお務めをされています」
「だからね」
「そのお務めから」
「解放したいわ」
 この望みも言うのだった。
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