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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
お礼にあたしは、専属契約を結ばれる
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ん。ありがと。」

あたし達は舞さんや北斎にとっては恩人なのだと言う。
ということでこの『蜘蛛の糸』へ招かれた。

「つっても、二人を会わせるキッカケ作ったのはあの探偵さんだけどね。」
「探偵さん?探偵さんってあの…」
「そ。この街の探偵さん。東京でデートしてるところでたまたま会ってさ。」

探偵さんが刑部姫とデートなんかしていなければ、あたし達は船で会うことは無かったしあそこで北斎さんを助けることも出来なかった。
で、彼は頑なに『慰安旅行』と言っていたけどあれはデートだ。デートに決まってる。ここではそう言わせてもらう。

「そうなんだ…。」
「まぁどっちにしろ感謝してもしきれねぇナ。葵殿にも探偵殿にも。」
「だね。」

用意されたおちょこに舞さんがまぁそれは高そうな一升瓶に入ったお酒を注いでくれる。
それをくいっと頂く北斎。

「かーっ!美味い!天にも登れそうサ!」
「1番いい日本酒なんだ。モリアーティさんに無理言って下ろしてもらったんだよ。」
「いや、こうしてとびきり美人になったマイを肴に飲むのは格別って話だ。どんな安酒だろうが美酒になっちまうヨ。」
「褒めてもなんにも出ないよー。」
「ははっ、そうかい。でも今まで褒めてやれなかった分、今日はたぁっぷり褒めてやるからナァ…。」

あーイチャイチャしてる。
あたしらこれいていいの?

「それはそうだ。葵殿。」

って思って香子と顔を合わせていたら北斎が話題を振ってきた。

「え、なに?」
「お前さん方には礼を考えててナ。」
「え、お礼?」

そう言うと北斎は懐から筆を取りだし、あたし達をそれで指す。

「挿絵を描いてやろう。専属契約を結んで、おれとマイはお二人さんだけの絵師になってやろうって話サ!」
「……えっ?」

かたまる。
また香子と顔を合わせる。

「紫式部…。契約って?」
「挿絵を描いてくださる…と。私と、葵様の為だけに。」
「え…えぇっ!?」

頭で理解するのにやや時間がかかった。
あの葛飾北斎が、あたし達の小説で挿絵を描いてくれる?
日本人なら誰でも知ってるあの超有名絵師が?

「心配すんナ。現代風の絵だってなんだって描けるヨ。それにマイもとと様が認めるほどの腕前を持ってる。どうだい?悪い話じゃないだろ?」

と、かなりスムーズに話が進んでいく。
当然あたしは慌てるわけだし、何より一番の問題が…

「って言ってもあたし…お金とかそんなに無いし…。」
「金だァ?いらねぇいらねぇ。恩人様から金取ろうだなんて失礼だ。」

訂正。
一番の問題が今解決された。

「おれは描きてぇから絵を描いてる。マイもそうだろ?」

そう言うと舞さんもニコニコしながら頷いた。

「つまり
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