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神々の塔
第十九話 悪魔の正義その九

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「特別に編成した十一人の不死身の連中を使ってな」
「ああ、あの死刑囚ばかりで編成した」
「元々はならず者やったが」
 それこそ死刑判決を受ける様なというのだ。
「しかしな」
「根っからの悪人やないし能力はあるさかい」
「特別にや」
「警官にしてやったね」
「毒には毒」
「悪には悪やね」
「その論理でぶつけてるな」
 すなわち実際に対処を行わせているというのだ。
「そうしたや」
「部隊を使ってるんやね」
「そして徐々にでもな」
「追い詰めていってるんやね」
「あの娘がな」
 喜久子がというのだ。
「そうした」
「生真面目なあの娘やと」
 綾乃は喜久子のその性格から話した。
「もうそんな死刑囚を集めて」
「警官に仕立てる様なやな」
「そんなこと考えつかんのちゃうかって思うけど」
「そういう訳でもない、こうした話はあったし」
「そうなん」
「かつてシチリアでは山賊を取り締まる為に山賊を警官にした」
 十八世紀末からのことだ、当時この島を統治していたナポリ王国がそうしたという。
「そうしたこともあったしな」
「ああ、あのマフィアの元にもなった」
「そうそう、トスカのスカルピアってね」76
 アレンカールはプッチーニの歌劇の話をした。
「実はマフィアやったけど」
「そや、警視総監になってるけどな」
 ローマのだ。
「男爵で」
「その実はね」
「元々は山賊でな」
「それが警官になった」
「そんな奴やった」
「そうよね」
「そやからああしたな」
 リーはさらに話した。
「強欲で残忍でな」
「手荒なのよね」
「そんな奴なんや」
「これがね」
「それでや」
「喜久子ちゃんもなのね」
「確かに基本正統派でな」
 その政の在り方はというのだ。
「普通に警官はこれはっていうな」
「人を試験と面接で採用して」
「そうした制度にしててな」
「教育もしているわね」
「そや、しかしな」
「時にはなのね」
「そうしたな」
 まさにというのだ。
「毒には毒っていう」
「そうしたこともするのね」
「そうした知識も備えてるさかいな」
「知識があって必要と見たら」
「そうするのもな」 
 それもというのだ。
「喜久子ちゃんや」
「あの娘なのね」
「そや、それでそのや」
「特殊な警官達で」
「巨人軍に対してる」
「そうなのね」
「あの連中は私も知ってるが」
 首相としてだ、リーも把握しているのだ。内政を統括するのは副首相である太宰だが彼も首相として把握しているのだ。
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