第一章
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夜雀バラード
山下潤奈は今しがたロマンスを終えたばかりだった。
地毛が茶色の髪の毛を短くしている、切れ長のやや吊り目が印象的で眉は細く長い。鋭利な顎を持つ顔で唇は赤く小さい。色白で背は一六三程ですらりとしたスタイルでグレーのズボンとスーツが似合っている。
今彼女はバーで飲んでいる、カクテルをこれはというものを注文してだった。
一杯一杯飲んでいる、カクテルを作っている白髪頭の小柄であるが粋な感じの年老いたマスターが言ってきた。
「お客さん何かあったね」
「わかりますか」
潤奈はマスターに静かに応えた。
「今日ちょっと失恋してきました」
「そうですか」
「失恋と言っても喧嘩とか浮気じゃなくてね」
そうした話になりそうなものでなくといのだ。
「彼がイギリスの大学にスカウトされてです」
「イギリスの、ですか」
「それでそっちに移住することになったので」
だからだというのだ。
「もう」
「それで、ですか」
「私はこっちに仕事がありますので」
カクテル、注文したモスコミュールを飲みつつ話した。
「日本から離れられないので」
「それで、ですね」
「はい、お互い仕方ないねということで」
やはりモスコミュールを飲む。
「ですから」
「それで、ですか」
「今さっき彼を空港で送ってきて」
「お別れですか」
「そうしてきました。二年付き合って」
「今先程ですか」
「終わりました」
そうなったことを飲みつつ話した。
「じゃあねでお別れして」
「そうしてですか」
「飲んでいます」
「今ここで」
「そうしています、もうそうするしかないので」
お互いの仕事があってというのだ。
「別れたので未練や悲しさはです」
「ないですか」
「はい、ただ」
それでもというのだ。
「寂しいですね」
「お付き合いしていた方がですね」
「いなくなったので」
「それで、ですね」
「寂しいです、あまりにも寂しいので」
それを感じて仕方ないのでというのだ。
「今こうしてです」
「飲まれていますか」
「はい、明日休日なので」
「今夜は、ですか」
「ちょっと気が済むまで」
その時までというのだ。
「飲みます」
「そうされますか」
「そうしていいですか?」
「飲み過ぎはよくないです」
マスターはこのことはと答えた。
「やはり」
「そうですね、お酒の飲み過ぎは」
「はい、ですが」
それでもとだ、マスターは潤奈に答えて話した。
「こうした時はです」
「飲むことですね」
「それで吹っ切れるなら」
「それならですか」
「飲まれて下さい、このまま」
「そうさせてもらいます、では次は」
モスコミュールを飲み干した、それでだった。
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