第三章
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「僕から生まれるなら」
「それならかい」
「そして死ぬのなら」
その運命となったのならというのだ。
「人間を見守ってそして」
「そして?」
「死んでからもね」
それからもというのだ。
「見守っていたいよ」
「そう考えているんだ」
「そうだけれど」
「それならね」
烏はニワトコの考えを聞いてすぐに答えた。
「いい考えがあるよ」
「いい考え?」
「死んだらそこに身体を魂を置く場所をもうけるんだ」
「それはお墓だね」
「そう、死んで眠る場所をね」
それをというのだ。
「もうけて」
「そうしてだね」
「君はそこにいる様にして」
「人間を見守ることだね」
「そうすればいいよ」
「ではそうするね」
「その様にね、そしてね」
烏は石に顔を戻して話した。
「君もお墓でね」
「そこでだね」
「君も人間と関わったのだから」
それ故にというのだ。
「お墓にいたいね」
「それはね」
石も否定しなかった。
「やっぱり」
「ならだよ」
「僕もだね」
「お墓にいるといいよ」
「ではそうするね」
石は烏に答えた。
「死んだ人間を見守るよ」
「そうしていくね」
「うん、人は死ぬ様になったから」
そうして墓で眠る様になったからだというのだ。
「その様にね」
「していくね」
「これからはね」
烏に約束した、こうしてだった。
人は死ぬがそれと共に増える様になり世に満ちていった、そして死ぬと墓に入って眠る様になったがそこにはニワトコが生え石が墓標となる様になった。カナダブリティッシュコロンビア州にあるクイーン=シャーロット諸島南部先住民ツィムシアン族の伝承の異説である。
墓の木 完
2022・11・16
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