第四章
[8]前話
「だからね」
「冷やすことについてはな」
「何でもないわ」
「そうだな、じゃあな」
「保存も出来るし」
「自分達で打ってな」
「切って茹でて」
そしてというのだ。
「氷水を出して冷やして」
「そして食っていこうな」
「そうしましょう」
二人で話した、そしてだった。
実際に夫婦で蕎麦を作って食べていった、それで友人である他の妖怪達にも振舞ったりもしたがその評判は。
「いや、美味いな」
「そうだよな」
「よく冷えていて」
「それで麺も引き締まっていて」
「美味いよ」
「あんた達の作った蕎麦は」
こう言うのだった、だが。
「冷えてるな」
「それもかなり」
「雪、いや氷だな」
「それみたいに増えてるな」
「やっぱりそれは仕方ないな」
雪男は友人達にこう返した。
「わし等だとな」
「私達雪の妖怪だから」
雪女も言った。
「凍らせない様にはしてるけれど」
「冷えているのはな」
「仕方ないわ、だから私達は平気でも」
それでもというのだ。
「冬は辛いかもね」
「ああ、冷え過ぎてな」
「氷みたいだから」
「冬は勘弁だよ」
「どうしてもな」
「やっぱりそうだな、じゃあ冬はわし等だけで楽しむな」
こう言うのだった。
「そうするな」
「どっちにしても私達が楽しくてやっていて」
雪女も言った。
「お店じゃないし」
「商売じゃなくて趣味だからな」
「それでいいわね」
「じゃあな」
「ええ、これからもね」
「わし等で蕎麦を作ってな」
「食べていきましょう」
「そうしましょう」
二人で話してだった。
彼等は蕎麦を作って食べていった、冷えた蕎麦は冬は他の誰も食べなかった。だが彼等ははそれは平気で食べていった、そうして店の蕎麦だけでなく自分達の蕎麦も楽しんでいった。
氷蕎麦 完
2023・1・14
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