第一章
[2]次話
そんな爺いるか
小羽康夫は七十を過ぎた、シルバーワークで時々自宅近くのスーパーでナイトマネージャーをしている。白髪頭で顔は皺だらけだ。
その彼がある日隣の家の主人で一つ下の長倉一髪の毛がかなり減った太った彼に言われた。
「小羽さん最近やってるか?」
「やってるって何だよ」
「夜の方だよ」
散歩をしていてそこで会って話をしている中で言われた。
「そっちは」
「ある筈ないだろ」
小羽は長倉に笑って返した。
「そんなの」
「あんたもそうか」
「もう七十過ぎるとな」
長倉にさらに言った。
「そうしたことはな」
「なくなるな」
「ああ」
「わしもだよ」
長倉は自分もと言った。
「もうな」
「なくなったな」
「夜はな」
「若い頃は」
小羽はこの頃のことも言った。
「もうな」
「毎晩でもだったよな」
「ああ、中学とか高校の頃なんてな」
「幾らでもって感じだったな」
「もうそういうことにな」
それこそというのだ。
「興味が尽きなくて」
「仕方なかったな」
「女の人を見れば」
「そういうことばかり考えたな」
「そうだったよ」
こう長倉に言った。
「あの頃は」
「わしもだ、本当にな」
「若い頃はな」
「夜のこともな」
「頑張れたな」
「幾らでもな、しかしな」
「今はな」
また言うのだった。
「そっちはな」
「さっぱりだな」
「そもそもな」
小羽はこうも言った。
「食欲だってな」
「ああ、減ったな」
実際にとだ、長倉も答えた。
「食う量も」
「そうだろ、歳を取るとな」
「どうしてもな」
「減ってな」
食欲がというのだ。
「そうなってな」
「若い頃は幾らでも食えたのに」
「それがな」
「今じゃご飯なんてお碗にな」
これにというのだ。
「精々な」
「一杯位だな」
「そうだよな」
「もうそれ以上はな」
小羽は笑って話した。
「食えないさ」
「脂っこいものだってな」
「食えなくなったな」
「身体も動けなくなった」
「そうだな、体力だってな」
「昔は尽きない感じだったのが」
「もう何もかもがな」
それこそというのだ。
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