第百話 夏の終わりその十
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「思って努力すべきだしね」
「そこで終わってたら駄目ね」
「不平不満ばかり言う人って動かないでしょ」
「自分ではね」
咲もそれはと答えた。
「何もね」
「努力しないでね」
「ただ言うだけよ」
「そうした人は駄目よ」
「何もならないわね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「だからね」
それでとうのだ。
「今で満足していて」
「不平不満を言わないなら」
「個人ではいいのよ」
「私自身は」
「ええ、無欲でね」
「自分のことは無欲でいいの」
「けれど日本も発展したらね」
国家の話もだ、母はした。
「その分いいし人間の文明もよ」
「欲が深いと発展するのね」
「ああしたいこうしたいって思うことが」
このことがというのだ。
「はじまりでしょ、エジソンだって何があったら便利かとか」
「そう考えて発明して」
「色々なものを発明した節があるでしょ」
「エジソンも人間だしね」
調べると良くも悪くも人間的であった、聖人君子どころかライバルへの妨害や経営している会社での社員への待遇等今見るとどうかという行動も多い。
「あれがあったらいいかとか」
「貪欲に思って」
「それで発明してよ」
「あそこまでなったのね」
「車だってね」
これもというのだ。
「皆乗りたいと思ったからね」
「今皆車に乗ってるのね」
「そう、大量生産を可能にして」
それはヘンリー=フォードが先鞭を付けたことである。
「それで、でしょ」
「皆乗ってるわね」
「日本でもね」
母はまた自分達の国の話をした。
「皆が乗りたいと思って」
「それで大量生産しようと思って」
「皆頑張ってね、車を沢山作って皆車を持てる位のお金を持って」
「乗れる様になったわね」
「だから国家や文明が発展するにはね」
「人の欲が必要なの」
「そうよ」
まさにというのだ。
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