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イベリス
第百話 夏の終わりその八

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「ああした風ならいいけれど」
「実際にはでしょ」
「大変よね、特に日本は」
「勿論プリンスもね」
「王子様も」
「同じよ」
 その大変さはというのだ。
「勿論ね」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「咲がそう思うなら」
「いいのね、どうせならお金持ちの方がね」
 咲は笑って答えた。
「いいわ」
「そっちの方がなのね」
「ええ」
 断然という口調での言葉だった。
「本当にね」
「いいのね」
「なるならね」
 それならというのだ。
「私としては」
「それがいいわね、お金持ちは別にね」
「そんな窮屈さないわよね」
「ないわよ、もうお金があるからしたいことも出来てね」
「買いたいものも買えるわよね」
「自由にね」
「お金があるだけね、それならね」
「お金持ちの方がいいのね」
「断然ね」
 まさにという口調での言葉だった。
「私としてはね」
「その辺り咲ね、お金と自由ね」
「まあ今の状況でね」
 咲は笑って言葉を返した。
「充分だしね」
「充分なの」
「お金も自由も」
「もっと欲しくないの?どっちも」
「いや、普通に暮らせてるから」
 笑顔のままでの返事だった。
「だからね」
「もうそれでなの」
「いいわ」
「うちあまりお金ないわよ」
「不自由してないし」
「それならなの」
「いいから」
 やはり笑って言った。
「今位でね」
「咲って無欲ね」
「そうかしら」
「ええ、うち位で充分って」
「いや、一軒家で車もあって」
 そしてとだ、ここでだった。
 咲は自分達がいる部屋の中のケージを見てだった、そこで丸くなって気持ちよさそうに寝ているモコを見て話した。
「モコもいるし」
「充分なの」
「これ以上はね」
「いらないのね」
「私はね」
「そうなのね」
「これ以上の贅沢は」
 それはというと。
「もうね」
「咲はいいの」
「そう思うわ」
「欲しいものはないの」
「あるけれど私が欲しいものって」
 それはというと。
「漫画とかライトノベルとかゲームとか」
「そういうもので」
「中古で手に入るなら」
 そうしたものがというのだ。
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