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第十九話 友情その八

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「ですから」
「そうだな、しかしな」
「それでもですか」
「俺は絶対にだ」
「妹さんも彼も殺さない」
「俺の心を保ってな」
「そうですか、ですが心は」
 それはとだ、牙暁は封真に話した。今も運命は変わらないものだと強く考えているからだと言うのだった。
「彼が選べば」
「その時はだな」
「彼が天の龍になればです」
「俺が地の龍になりな」
「心を失います」
 神威がその選択をした時にはというのだ。
「そしてです」
「その逆ならな」
「彼が地の龍になれば」 
 その選択を行えばというのだ。
「彼が心を失う」
「そうなるな」
「はい、そうなります」
「己が心を保てばだ」 
 牙暁の考えにだ、封真は確かな声で答えた。
「大丈夫だ」
「そうですか」
「俺はそう思う、だからな」
「心を保たれ」
「小鳥も神威も殺さない」
「そうされるのですね」
「絶対にな、貴方にも約束する」
 また牙暁に話した。
「俺は」
「そう言われて安心しました、では信じてもいいですね」
「ああ、そうして欲しい」 
 優しいが確かな目になっての返事だった。
「俺もそうするしな」
「それでは」
「人間は弱い、けれど強くもある」
「相反するものを持っている」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「俺は今は心をな」
「強くしてですか」
「そしてだ」
「自分自身を保たれますか」
「そもそも他の地の龍は心はそのままだな」
「はい、何故かです」
 牙暁は封真に話した。
「七人目の地の龍はです」
「添え星も含めてだな」
「地の龍になれば」
 その時はというのだ。
「心を失います」
「そうだな」
「どういう訳かはです」
「確かなことはわからないか」
「僕もそうですし」
「他の誰もか」
「庚さんも」
 地の龍を束ねている彼女もというのだ。
「その様です、ただ考えますに」
「貴方と庚さんがか」
「人を滅ぼすので」
「それにあたって心が痛まない」
「その様になるのではとです」 
 その様にというのだ。
「僕は考えます」
「そうか、それならな」
 牙暁の考えを聞いてだった、封真は腕を組んで述べた。
「有り得るな」
「そうですね」
「それもな」
「しかしですね」
「俺はそうならないことをだ」
「今ですね」
「約束したしな」
 牙暁にというのだ。
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