第一幕その八
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「厳密に言うと百十七万石位だったかな」
「薩摩藩の実際の三倍位だね」
「それだとね」
「そうよね」
「それで二万二千に対して」
加賀藩のお侍はというのです。
「薩摩藩は五万だよ」
「えっ、多いね」
「前田家の二倍以上じゃない」
「物凄く多いよ」
「それだと」
「お侍の数だけ俸禄を支払わないといけないから」
だからだというのです。
「余計にだよ」
「薩摩藩は大変で」
「薩摩藩の人は貧乏な人が多いんだ」
「そうなんだね」
「そうだよ、五万ものお侍に三十八万石で俸禄を出すとなると」
そうなると、というのです。
「必然的にそれぞれの俸禄は少なくなるね」
「そうだよね」
「正直言って無理あるね」
「考えてみたら」
「その無理が江戸時代の間ずっと続いたからね」
それ故にというのです。
「西郷さんも大久保さんもだよ」
「貧しかったんだね」
「俸禄が少なくて」
「そのせいで」
「身分が低かったこともあるけれど」
西郷さん達はです。
「薩摩藩のそうした事情があったんだ」
「成程ね」
「だから西郷さん達貧しかったんだ」
「色々大変なお話があるけれど」
「そういうことだったんだ」
「そうだよ、西郷さんなんてね」
先生はこの人のお話をここでしました。
「お豆腐屋さんをおから屋さんだって思っていたんだ」
「おからってあれだよね」
「お豆腐の搾りカスだよね」
「兎の餌にもするし」
「僕達も油をたっぷり使って炒めて食べてるね」
「あれはあれで美味しいね」
「けれどお豆腐を貧しくて買えなくてね」
そうした事情があってというのです。
「おからしか買ってなくてだよ」
「おから屋さんと思っていたんだ」
「そうだったんだね」
「西郷さんは」
「そうだよ、そこまで貧しかったんだ」
西郷さんはというのです。
「お豆腐を見てお父さんがこんなご馳走どうしたんだっていう位にね」
「あの、江戸時代お豆腐ってご馳走じゃないよね」
食いしん坊のガブガブが言ってきました。
「確か」
「もう皆普通に食べていた筈だよ」
もの知りのトートーも言います。
「確かね」
「そのお豆腐がご馳走で」
ガブガブも驚きを隠せません。
「それでおからばかり食べていたって」
「物凄く貧しかったんだね」
「西郷さんのお家は」
チープサイドの家族もお話します。
「考えてみたら」
「おからって物凄く安いから」
「ううん、何ていうかね」
ジップは思わず唸りました。
「幕末の偉い人だからお金持ちかもって思ったら」
「これが全然違うからね」
ホワイティはジップに応えました。
「最初驚いたわ」
「それも西郷さんだけじゃないからね」
ポリネシアは他の人のお話をしました。
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