第一章
[2]次話
巨人は負けないと駄目
根室寿はこの時幸せの絶頂にあった、それで朝食のサラダの盛り合わせにドレッシングをたっぷりとかけてから言った。
「いやあ、昨日も勝ったよ」
「巨人にね」
「やっぱりあれだよ」
妹の千佳に満面の笑顔で語った。
「巨人に勝つとね」
「最高の気持ちになれるわね」
「阪神が強くて何よりだけれど」
愛するチームが首位を独走していることについても言及した。
「何といってもね」
「巨人に勝ったことが嬉しいのね」
「それでもう二位の横浜と六ゲーム差か」
寿はイタリアンドレッシングで味付けされたレタスやトマト、それにセロリやラディッシュを食べつつ言った。
「もうこのままだよ」
「独走っていうのね」
「巨人に勝って」
そのうえでというのだ。
「阪神ぶっちぎりで優勝だよ」
「最後までわからないわよ」
千佳もサラダを食べている、彼女はオニオンドレッシングをかけている。そのうえで食べつつ兄に返した。
「ペナントまだ半分もいってないわよ」
「だからか」
「まだね」
それこそというのだ。
「わからないわよ」
「じゃあ広島もか」
「可能性あるわよ、今三位よ」
兄に自分が愛するチームのことを話した。
「だったらね」
「逆転もか」
「あるでしょ」
「今年の阪神は本物だよ」
兄は余裕に満ちた笑みで応えた。
「それならだよ」
「優勝するっていうのね」
「名将岡田監督が現場に復帰してな」
そうなってというのだ。
「今この調子だからな」
「それでなのね」
「最後までこの調子で勝ちまくって」
「優勝ね」
「カープには悪いけれどな」
「別に悪くないわよ」
千佳は今度は茹で卵を食べつつ応えた、メニューは他にはクロワッサンとヨーグルトといったものである。
「阪神だったらね」
「いいんだ」
「いいわよ」
こう言うのだった。
「別にね」
「巨人以外ならだね」
「そこはお兄ちゃんと一緒よ、しかし巨人が弱いと」
千佳はあらためて言った。
「私も嬉しいわ」
「そうだよね」
「巨人だけは」
忌々しさが具現化した様なこのチームはとだ、千佳も言った。
「弱くないとね」
「駄目だよ」
「そうよ、出来れば最下位は」
屈辱とされるこの順位はというと。
「巨人が独占しないとね」
「中日じゃなくてね」
「最近ヤクルトも危ないけれど」
連敗が込んでだ、昨年リーグ制覇を果たしたチームも今年その時の様に戦えるかはわからない。それもプロ野球なのだ。
「そのヤクルトにしてもね」
「最下位になって欲しくないね」
「中日にもね」
「今の中日見てたら」
寿は冷静な目で述べた。
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