暗躍編 真凛・S・スチュワートという女 前編
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――2020年7月某日。公安機関「ノバシェード対策室」に所属する特務捜査官だった真凛・S・スチュワートが、対策室を去ってから約1ヶ月が過ぎていた頃。
彼女が担当するはずだった事件の捜査はこの時期から、「後輩」に当たるヘレン・アーヴィング捜査官が引き受けるようになっていた。かつては対策室最強とも謳われていた女傑は組織に適応し切れず、後進にその座を譲らざるを得なかったのである。
だが、特務捜査官としての地位と権限を失おうとも彼女のやることに変わりはない。むしろ組織という枷が外れたことにより、かつての女傑は水を得た魚――否、「人魚」のようにノバシェードを追い続けていた。
◆
北欧某国の首都・エンデバーランドの東部に隣接しているギルエード山地。その山岳地帯の地下深くに隠されていたノバシェードの怪人研究所は、かつて対策室最強と恐れられた「女傑」の潜入を許していた。施設内部に繋がっていた地下水路から侵入して来た女豹は、研究所を警備していた戦闘員達の死角に忍び込んでいたのである。
――薄暗い研究所の最深部。その一室には、カツンカツンというハイヒールの足音が響き渡っている。扇情的な青いチャイナドレスを纏う絶世の爆乳美女は、その豊穣な果実と安産型の爆尻をたぷんたぷんと揺らしながら、静かな足取りで歩みを進めていた。
くびれた腰を左右にくねらせ、蠱惑的に足を運ぶ彼女の足元には、多くの男達が呻き声を上げて倒れ伏している。意識が混濁している彼らの視界に辛うじて映っているのは、スリットが深く入ったドレスによって強調された、白く肉感的な美脚であった。
「ぐっ……ば、馬鹿な……! 俺達は改造人間なんだぞ……!? なんでこんな、ただの人間如きにィッ……!」
旧シェードの失敗作とはいえ、曲がりなりにも人間を超えた力を持っているはずの改造人間。そんな自分達が生身の人間、それもたった1人の女に敗れている事実を受け止め切れず、男達は痛み以上の苦しみに悶えている。
そんな彼らを一瞥する妖艶な女探偵――真凛・S・スチュワートは、ウェーブが掛かった黒のロングヘアを靡かせ、哀れな戦闘員達を冷たく見下ろしている。凛とした美貌をより艶やかに彩る冷酷な眼光が、男達を真っ直ぐに突き刺していた。
「……改造人間と言っても、所詮は生身の人間よりはほんの少しだけ丈夫という程度の粗悪品。旧シェードにとっては売り物にもならない程度の失敗作なのだから、当然でしょう?」
「貴様ぁああッ……! 必ず殺してやるッ! その身体を隅から隅まで嬲り尽くして、女に生まれたことを後悔させてやるぅうッ……!」
氷のように冷たく、それでいて艶やかな真凛の美貌。その怜悧な貌に反して彼女の肉体は凄絶なほどに扇情的であり、チャイナドレスを内側から押し上げる特大の
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