]世、他クラスの生徒と邂逅する。
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「あの子の勇気に……向き合う?」
「うん。あの子の事を傷つけたくないのなら、ごまかさずに真正面から受け止めてあげて? それが最大限の優しさだと思うから」
一之瀬さんは女の子の事を見てしばらく考え込む。そして、顔を上げた彼女は、始めて会話した時の様に晴れやかな笑顔に戻っていた。
「うん! わかった! ありがとう、沢田君♪」
「ううん、じゃあ俺はこれで」
そう言って校舎裏から離れる。俺が横を通り過ぎる時、女の子が頭を下げてくれた気がした。
〜数分後〜
「ううっ……ぐすっ……」
なんとなく行く末が気になった俺は、校舎裏近くのベンチに腰掛けていた。
数分もすると、女の子が泣きながら校舎裏から出てきた。
「……あっ」
走り去ると思っていたら、女の子は俺を見て足を止めた。
そして俺に近づいて来て頭を下げた。
「……ありがとう。君の言葉を聞いて、ちゃんと気持ちを伝える事ができたよ。結果は残念だったけど、すごくすっきりできた気がする」
涙を必死に堪えながらそう言ってくれた女の子。
俺はその子に首を振って答える。
「ううん、君が勇気を出して告白したからだよ。……その、前を向くのはさ、思いっきり悲しんでからでも遅くないと思うよ?」
「……え?」
「無理して我慢する必要はないってことだよ。辛い気持ちは全部今日の内に吐き出してさ、明日から前を向けばいいんじゃないかな?」
「……ぐすっ。……あ、ありがど?」
女の子は顔を歪めながらもう一度頭を下げる。そして泣きながら走り去って行った。
「……」
「あ〜あ、かっこいいトコ見せられちゃったなぁ〜」
女の子の背中を見送っていると、校舎裏から一之瀬さんが出てきた。
「ちゃんと向き合ってあげれたんだね、一之瀬さん」
「うん! 沢田君のおかげだよ!」
そう言いながら一之瀬さんは俺の隣に腰掛けた。
「……沢田君に借りができちゃったね」
「いいよ、借りとか思わなくて」
「ううん、私は恩を忘れたくないから。この恩は何かで返すからね」
「……そっか」
「うん♪ ……あ、この後カフェでも行かない? 私、もっと沢田君とお話してみたいんだ」
「あ、うん。いいよ?」
「ほんと? よかったぁ、じゃあ行こっか! ……あ、これで借りが無くなるわけじゃないから安心して!」
「あはは、別にそれでもいいよ?」
「ダメだよ! これは友達同士の、普通のお茶会だからねっ♪」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ